また、世界一の普及率を誇るというアスパルテームも、〈一時期は生殖機能を衰えさせるという理由でNG〉とされていた。しかし、後に、マウス投与実験で〈人間が摂る30倍の量をマウスに与えて〉いたとして、〈人体にはそういった悪影響は及ぼさないと判断がひっくり返り、結局のところ、現在でも大量に使われて〉いるそうだ。
甘味料の研究はそういった例が他にもあり、〈エリスリトールが一番安心だとする見解も一部でありますが、それを覆す説もあり、まだまだ評価は定かではありません〉という、いまだ発展途上の領域であることがうかがえる。
極めつけは、“ゼロ”にしたことにより、本末転倒になってしまった商品もあるという。それが、人工甘味料を使うことによって「カロリーオフ」「ゼロカロリー」「糖質ゼロ」を実現している、スポーツドリンクである。そもそも、〈糖分や塩分などが入っていて初めて〉機能が果たせるのがスポーツドリンク。
〈ナトリウムイオンと共にブドウ糖が含まれていれば、腸管から水分を素早く吸収できるのですが、人工甘味料では、こうした働きも期待できません〉
その結果、〈もともとスポーツドリンクが目的としていた、運動時の疲労回復に効果は望めません〉ということになる。だとすると、それはただの甘い飲み物であり、同書も〈「スポーツドリンクもどき」の商品を、スポーツドリンクの名前で販売している〉本末転倒の商品であると一刀両断している。
「ゼロ」「オフ」「カット」「フリー」など、耳障りのいい言葉だけを便りに手を伸ばして健康になった気&痩せた気になってしまう前に、一旦立ち止まって、その商品がゼロである理由と意義を考えたほうが良さそうだ。
(羽屋川ふみ)
最終更新:2015.12.07 07:14