「中西氏は“安倍首相のタカ派思想の家庭教師”との異名を持つほど親しい関係で、第一次安倍政権の「美しい国づくり」プロジェクトの企画会議委員をつとめ、また今年2月にも戦後70年談話のための有識者会議「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」に参加しています。さらに中西氏は、これまでも何かと安倍首相と歩調を合わせた形で、リベラル派を攻撃してきました。今回の古舘批判ももちろん同様の中の文脈で解釈する必要があります。安倍首相の意を受けたというか忖度してリベラル派を攻撃しているのです」(大手紙政治部記者)
岸井批判と同じ安倍支持者による批判報道ツブしの匂いを感じてしまうが、「週刊文春」では上記のような中西氏のコメントを紹介した上、古舘氏を“過激派キャスター”と断定し「掃討されるべきではないか」とまでこき下ろした。
そんなトンデモ人物にコメントを求めたのは「週刊文春」だけではない。「週刊新潮」も古舘氏などを批判する「内心無理とわかっていて『イスラム国と話し合え』という綺麗事文化人」と題した特集で、中西氏を起用しこんな古舘批判を展開させている。
「もちろん誤爆の悲劇はメディアが伝えるべき重要な問題。しかし、それをテロと同一視する議論は、テロの悪質さを覆い隠してしまうという意味で、結果的にイスラム国を利するものと言えるでしょう。日本の大メディアの看板キャスターたちがそのレベルの発言しかできないのは、国際社会における日本の信頼を傷つけることに繋がります」
さらに「週刊新潮」は古舘氏だけでなく、朝日新聞の報道や「サンデーモーニング」(TBS系)で対話が重要だと主張した田中優子・法大総長なども共に俎上に載せてこう批判する。
「有志連合による空爆は、ISの拠点に打撃を与え、資金源である石油施設を破壊しました。彼らの勢いを止めたことは間違いなく、もし空爆がなければ今頃、イラクの首都バクダッドやシリア第2の都市アレッポも、IS支配下に入っていたかもしれません」(軍事ジャーナリスト黒井文太郎氏コメント)
しかしイギリスの「フィナンシャル・タイム」(10月15日付)によれば、有志連合の空爆にもかかわらずイスラム国は年間5億ドルもの(約590億円)もの収入を石油採掘によって得ており、空爆の効果に疑問を呈している。
またCNNでもパリ同時テロ後、フランス空軍がシリアの都市ラッカを空爆しているが、死者129人のうちイスラム国の死者はたった数人にとどまるとの報道さえなされている。
こうした“自分たちに都合の悪い”情報を「週刊文春」「週刊新潮」だけでなく、日本の多くのメディアは報じようともしない。