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ISの自爆テロと旧日本軍の特攻は違うのか? テロを「カミカゼ」と呼ぶ海外報道にネトウヨは激昂するが

 しかも、元特攻隊員だからといってみんながみんな「自爆テロと特攻は違う」と言っているわけではない。

 作家の井沢元彦氏が、特攻隊の生き残りである濱園重義氏にインタビューをしている(「SAPIO」(小学館)04年10月13日号)。井沢氏は親米保守派らしく“9.11テロは民間人を巻き込んでいるから特攻隊とは違う”と言わせようと、明らかに誘導的に質問するのだが、それが思い通りにはいかない。

〈井沢 アメリカの記者は、9.11でイスラムゲリラが貿易センターに突っ込んだのをどう思うかって聞かれませんでしたか。
 濱園 聞かれたです。
 井沢 どうお答えになりました。
 濱園 それは当たり前だって言いました(笑)。
 井沢 ただ、あれは民間機をハイジャックして、民間人を巻き込んでいますよね。
 濱園 はい。
 井沢 そういう意味で、日本の特攻とは違うような気がするんですけれども。
 濱園 私はずっと詰めていけば一緒じゃないかと思うんです。あれもアメリカが憎くなければやらんですよ。
 井沢 ああ。
 濱園 それは特攻隊もそうですよ。特攻隊で何百機行ったって、アメリカには損害はほとんど与えておらんですよ。(後略)〉

 ちなみに、このインタビューで濱園氏は“自衛隊のイラク派遣を批判する人の気持ちがわからない”“部分的には今の憲法を柔軟に変えてもいい”という旨の発言もしており、いわゆる左翼・リベラル陣営の人ではない。しかし、こんなロジックでパレスチナのゲリラを評価している。

〈井沢 特攻ということで言えば、パレスチナゲリラで非常に若い子が、日本で言ったら中学生ぐらいの子が爆弾を巻いて、決意を自らのビデオに語って、それで突っ込んだりしていますが、ああいうのを見て、どういうふうにお感じになりますか。
 濱園 私はうちの孫たちにあれをまねしろって言ったんです。まねしろっていうのは、その精神力を。
 井沢 えっ、そうですか。
 濱園 彼らも国が徹底的にこなされて(引用者注:鹿児島地方で「苦しめられる」「やられる」という意味)、それに反感を持っているわけですよ。
 井沢 うん。
 濱園 何でかって、(イラク戦争でも)そこにアメリカが来て、結局、無実の罪の人をこなすでしょう。アメリカは「重点的に」「一般市民は避けて」って言うけど、爆弾がうまく避けるわけないじゃないですか。そこにおったのは全部死ぬわけですよ。だれがそれを見分けがつきますか。〉

 このやりとりをどう考えるべきか、その判断は読者に委ねたい。だが、特攻と「民族の栄光」を安易に接続しようとする感覚はこの国の現在と未来を生きる人間として、到底受け入れられるものではない。そのことだけは、ハッキリ言っておく。
(梶田陽介)

最終更新:2018.10.18 05:06

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