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新たに隠蔽発覚! 東芝の原子力事業1600億円損失の裏に“原発野郎”といわれた社長と安倍政権の関係

 新聞大手3紙の22日朝刊も、大きくこの問題を取り上げ、企業統治の実効性を高めるよう提言した。

 しかし、実はこの問題に対するマスコミ各紙の動きは鈍かった。4月にSESC(証券取引等監視委員会)への告発があり、5月には各社ともかなりの証拠をつかんでいたにもかかわらず、散発的に報道するだけで、通常の企業不祥事のような追及は一切することがなかった。

 さらに、第三者委員会が利益水増しを確定した現段階でもまだ「粉飾決算」という言葉を使わずに「不適切会計」というあいまいな言葉を用いている。3月22日の各社社説や解説でも、「自浄作用が働かぬ企業風土に問題」(日本経済新聞識者コメント)、「実効ある企業統治を」(朝日新聞社説)、「ルール軽視の体質を改める必要がある」(読売新聞社説)といった文字が踊り、各紙とも、今回の東芝の不祥事を「企業統治」の問題に落着させるかのようなトーンに終始している。

 マスコミのこうした弱腰はもちろん、東芝が大スポンサーだからだ。東芝はグループ全体で年間329億円もの宣伝広告費を計上しており、これは日本の企業ではかなり上位に入る。それに配慮して、自主規制しているということらしい。

「これからSESCが検察に告発して刑事事件になれば、もっと厳しい追及をすると思いますが、現段階ではこれが限界ということです」(大手紙・経済部記者)

 しかも、マスコミは今回、もうひとつ隠していることがある。今回の東芝の“不適切会計”は「事業の選択と集中」を行った「非常識経営」の異端児・西田厚聡(パソコン事業出身)が05年に社長に就任したことがきっかけとされている。08年9月のリーマン・ショックを発端とする事業環境の急激な悪化に対し、「死に物狂いでやってくれ」「事業を死守したいなら、最低100億円やること」(09年1月の会議)と叱咤するとともに、アメリカ流の当期利益至上主義を推し進めた。

 その結果、「とにかくこの会計期間に利益を達成しなければならないという当期の利益至上主義」(第三者委員会・上田広一委員長)が企業風土となり、社内では会計操作が横行したという。

 しかし、実際に粉飾決算をエスカレートさせ、巨大な規模にしたのは、その後の社長職をひきついだ佐々木則夫だった。11年から12年は“不適切会計”が幅広く行われた。決算期末までの3日で利益120億円の利益改善を迫り、13年3月期にはパソコンなどの部品取引で約310億円の利益を過大計上されたほどだ。

 そして、この佐々木前社長の行為は11年の東日本大震災以降の原発事業の不振をごまかすためだったと見られているのだ。

 東芝の事業の二大柱は、半導体と原子力発電なのだが、佐々木前社長は原子力事業一筋でのしあがってきた人物。たとえば、東芝は06年、相場の3倍以上の約6000億円を用意し、原発製造大手である米ウエスティングハウス社(WH社)を買収したが、その立役者が佐々木前社長だった。

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