また、同書ではイラク戦争についても、愛国心が戦争を引き起こすということを、以下のように辛辣に批評している。
「筋金入りの愛国心を植え付けられてきたアメリカ人にとっては、愛国心の象徴であるブッシュ大統領の言葉が正義であり、これを疑うには相当の勇気と思慮深さが必要に違いありません。しかしながら、あのおバカ大統領の言葉を信じてしまう人たちこそが、軍隊を志願し、実際に戦場に行かされるのではないでしょうか。それも愛国心のもとに、納得の上で戦地に赴くわけですよね。となると、いったいアメリカの愛国心って誰の役に立っているのでしょう。景気が悪くなったり、大統領のスキャンダルが発覚したりするたびに、アメリカが戦争を始めようとするのは、何も今回に限ったことではありませんが、愛国心が効果を発揮するその構図を考えてみると、その頂点にいるのは誰なのか……我ながら恐ろしくなります」
「アメリカ」を「日本」に、「ブッシュ大統領」を「安倍首相」に置き換えれば、そのまま、2015年に安倍政権がやろうとしている政策への批判として通用するような指摘ではないか。
だが、03年時点でこのような発言を残していた丸川氏は、それからわずか4年後の07年、自民党から参院選に出馬。その際の毎日新聞の参院選候補者アンケートでは9条改憲を訴え、されには核武装の検討を「始めるべき」とした。
そして、安保法制論議では、安倍首相とともに「自民党チャンネル」に出演、インチキだらけの安保必要論と明らかなデマである辻元清美バッシングを口にしたのだ。
安保問題だけではない。11年刊行のネトウヨ思想のパイオニアたる渡部昇一上智大学名誉教授が、櫻井よしこ氏、稲田朋美氏、曽野綾子氏ら名だたる極右女性らとの対談をまとめた書籍『渡部昇一、女子会に挑む!』(ワック)では、丸川氏も登場し、ヘイトスピーチまがいの発言も行っている。10年に導入された子ども手当について、「子ども手当を中国人や韓国人が役所へやってきて、一人で数十人も申請するようなケースも出てきてしまった」と渡部センセイのデマ丸出しの主張に深く同意し、「子ども手当は、日本国民でない場合は支給しない」という条項をつけるべきだった、などと発言している。