憲法の番人まで違憲表明しているが…?(内閣官房長官・衆議院議員 菅義偉ホームページより)
安保法案で参考人招致された学者や長官たちの違憲表明は大きな波紋を呼んだが、しかし政府は一貫して「参考人の一人の意見」とまるで取るに足らないものだと一蹴した。その際、菅義偉官房長官や高村正彦副総裁が持ち出したのが最高裁だった。「憲法の番人は最高裁判所であって憲法学者ではない」と。
ところが、その最高裁の元判事たちでさえ次々と違憲を表明、政府への批判を口にしたのだ。
2012年まで最高裁判事をつとめた那須弘平氏は、7月9日に開かれた日弁連の集会で集団的自衛権容認を「違憲」と断定し、安倍政権をこう批判している。
「憲法解釈の変更が行われるというのは、法律的にも政治的にも認めがたいことである」
また安倍政権が主張する、周辺国からの脅威、安全保障環境の変化についても、「日本の安全が本当に脅かされるようなほどの緊急かつ深刻な事態が現に発生しているかということです。しかし現実にそういうことが起きているのでしょうか。そうは思えない」とその大前提となる根拠にも大きな疑問を呈したほどだ。
さらに7月10日に放映された『報道ステーション』(テレビ朝日系)では01年から06年までの5年間、最高裁判事をつとめた濱田邦夫氏がカメラ取材に応じ、「もちろん違憲です」と断定、安倍政権の動きを憲政無視とこう批判している。
「憲法改正を問うて選挙をしてそれでやるなら、憲政の王道に従うわけですが、昨年夏の安倍内閣の閣議決定なるものは、昨年12月の選挙の主題になっていない。立憲主義を無視し、国民の各層の反対意見を無視し、無視するどころか圧殺しようという動きというのは非常に危険だ」