AKB48内山奈月の国会招致が急転、理由は…(『憲法主義 条文には書かれていない本質』PHP研究所)
現在、自民党が進めている「選挙権年齢の引き下げ」。現在、20歳以上と決められている選挙権年齢を18歳以上に引き下げるというもので、今国会で法案の審議を行い、6月2日に採決される予定だ。
だが、そんななかで妙な話が洩れ伝わってきた。29日には本法案について国会に専門家を呼び、意見を聞く参考人質疑が予定されているが、自民党はその参考人にAKB48のメンバー・内山奈月を選定。しかし、昨日26日に内山の国会招致を断念したというのだ。
自民党は断念した理由を、本人の都合が合わなかったことと「党幹部から「パフォーマンスと思われかねない」との異論が上がったため」(朝日新聞より)としている。だが、これはほんとうだろうか?
そもそも「なんでAKBを呼ぶの?」と疑問の方に解説すると、内山は“特技は憲法暗唱”という特異なキャラをもつメンバーで、昨年7月に『憲法主義 条文には書かれていない本質』(PHP研究所)なる本を出版。南野森・九州大学准教授による憲法講義を内山が受ける模様を収めた同書は「わかりやすい憲法入門書」としてヒットを記録したのだ。
憲法についてよく知る現役大学生のAKBメンバー。このキャッチーさに自民党が飛びついたのは確実で、最初からパフォーマンス目的だったはず。それに、AKB側にとってはメンバーが国会に参考人として呼ばれるのは名誉あることなわけで、第一、政治に接近するのが大好きな秋元康総合プロデューサーが断るはずはない。では、どうして内山の国会招致は立ち消えたのか。
その答えは、きっと内山自身の本にあるだろう。というのも、前述した『憲法主義』を読めば、内山は安倍首相とは逆をゆく憲法思想の持ち主であることがよくわかるからだ。
たとえば、集団的自衛権の容認をめぐる憲法第9条1項・2項の解釈問題。安倍首相は強引に解釈改憲を行ったが、こうした解釈改憲について内山は〈解釈改憲が手軽に行えるとしても、それを繰り返すことは非常に危険〉と言及。しかも、内山はこうも述べる。
〈憲法の価値とは、「誰が草案を書いたのか」とか「草案の素晴らしさ」がそれを決めているのではない。(中略)憲法が「その国に根づいているか」、「安定しているか」、「運用されてきたか」ということが、その憲法の価値を定めているのだ〉
そう、安倍首相が主張する「現行憲法はGHQによる押し付け憲法だ」という主張を内山は否定し、憲法の価値はそこにはないと斬り捨てているのだ。