小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

小渕優子はなぜ立件されなかったのか? 特捜部の不自然な捜査、結論を知っていた官邸…

 ところが、特捜部はこうした疑惑についてはそもそも捜査した形跡がほとんどない。簿外支出があるとしながらその中身にふれず、8800万円の架空計上も、ひたすら「つじつま合わせ」の虚偽記載で片付けてしまっているのだ。

 さらに、小渕氏が自分の顔写真ラベルのワインを有権者に配ったことについては、証拠も揃った明らかな公職選挙法違反であるにもかかわらず、特捜部は理由を明示しないで「不起訴処分」としてしまった。いったいこの不自然さはなんなのか。全国紙の検察担当記者がこう語る。

「ワインの贈答なんて明らかに公職選挙法違反ですが、検察幹部に聞くと、こんなもので立件するのは影響が大きすぎるというような説明にならない説明をしていました。言ってみれば、最初から特捜部のターゲットは折田前町長だけ。小渕氏に影響が出ない落着をすることが決まっていたんでしょう」

 しかも、この検察の結論は、官邸にもかなり早い段階で伝わっていたようだ。今度は政治部のベテラン記者がこう分析する。

「官邸は総選挙前に小渕さんが立件されないことを知っていたはずです。そうじゃなければ、小渕さんを離党させないまま衆院選に出馬させるはずがない」

 ようするに、検察と官邸が裏取引をして、捜査をつぶしたということなのか。しかし、前出の検察担当記者によると、いまの検察の状況は「裏取引や捜査つぶし以前の話」だという。

「以前の検察ではたしかに、特捜部が自民党の政治家の不正捜査をやろうとして、政権と癒着する主流派につぶされるという、捜査つぶしの構図がありました。ですが、いまは全然違う。民主党政権時代以降、自民党と検察は利害が一致して完全に一体化していますし、郵便不正事件捜査での不祥事以降、特捜部も完全の法務省にコントロールされて、ただの官僚の集団になっていますから。最初から、政権与党の不正を捜査する気なんてさらさらありませんよ。それどころか、捜査状況を逐一法務省にあげて、間接的に官邸におうかがいをたてているような状況です。小渕氏の捜査にしても政権からの圧力というより、あうんの呼吸で立件見送りにしたということでしょう。まあ、今年1月に特捜部長に就任した齋藤(隆博)さん自体が、ほとんどお手柄のない官僚の典型のような人ですからね。政治家摘発なんてやるはずがない」

 すべてを官邸がコントロールする独裁国家化が進むこの国で、検察が政治の腐敗を糺してくれるなどと考えるのは、もはや幻想に過ぎないということだろう。
(野尻民夫)

最終更新:2017.12.23 07:18

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。