〈しかしその小泉総理も「心ならずも戦地で亡くなった英霊」と表現していた。私はそれが心のどこかで引っかかっていたが、3.11でそうではないと得心した。
福島第一原発の事故の時、決死の覚悟で放水活動に向かった消防士のもとへ「日本の救世主になってください」とメールを送った奥さん。南三陸町で津波が来る瞬間まで「避難してください」と防災無線を担当していた25才の女性。
彼らは「心ならずの」の(原文ママ)行動だったのか。そうではないだろう。本当に公に尽くす無私の行動だろう。
英霊たちもやはり、天皇陛下のため、国のために散っていた。それは「心ならず」ではなく無私の心、つまり愛国の情だろう。
靖国に参拝した小泉総理でさえ、やはり戦後レジュームの中で洗脳されていたのではないか。私は3.11を経てそれを考えた。
やはり東日本大震災は「このままでは日本は滅びる。日本人よ目を覚ませ!」という天からの警告であったではないか。〉
ようするに、3.11の大震災は日本人が戦後レジュームに洗脳されているせいで起きたことであり、愛国心を失くしたことへの天罰だと言うのだ。
正直、この文章を初めて目にした時は、あまりのひどさに信じられなかった。あの悲惨きわまりない災害、そして被災者の絶望を目の当たりにしながら、まるで被災者の側に責任があるかのような言葉を平気で吐く神経。自分の政治的主張を展開するために、未曾有の災害までをも政治利用しようとする卑劣さ。いくら、「国民の命より国家を守るのが総理大臣の仕事」と明言した安倍首相の一番のオトモダチとはいえ、この男はどこまで国民をバカにすれば気がすむのだろう。
3・11については石原慎太郎も同様の発言をしていたが、下村の悪質さは石原の比はない。
しかも、もっと恐ろしいのは、「天からのお告げ」「天からの警告」などというオカルチックな単語だ。
これらはおそらく比喩ではない。下村はこれまでも過去に「EM菌」「ナノ純金除染」「親学」「予言者ジュセリーノ」など、科学的根拠のまったくないオカルト思想を信奉し、絶賛してきた。これらの発言はそのオカルト思想から出てきた“本気”の発想だと考えるべきだろう。