このほかにも、一人旅に出かけたときにふらりと美容室に入り、「かっこいいパーマをかけてください」とお願いし、仕上がりは郷ひろみやリック・スプリングフィールドだと期待したものの結果は佐藤蛾次郎ヘアだったという悲惨な体験をも〈ひじょうに勉強になった〉とあっさり片づけるという潔さを見せる、17歳の坂上忍。きっと当時から、彼は達観していたのだ。事実、坂上は昨年『偽悪のすすめ』(講談社+α新書)を出版、本はヒットしたが、それと同じことを17歳にしてすでに書いている。〈きらわれること、非難されることを恐れてちゃ何もできやしないさ〉と。
〈ぼくが10年、20年後に今の心、気持ちを忘れていなかったら、そのとき初めてほめてほしい〉
本書の最後を、このような言葉で締めくくっている坂上。現在47歳だから、30年後も彼は17歳の心を忘れていないことになる。坂上にとって現在の司会業が性に合っているのかどうかはわからないが、少なくとも、空気を読んで自分の意見さえ口にできないヘタレな芸人司会者よりはずっといい。どうかもっと暴れて、テレビ業界の迎合主義を打ち破る存在になってくれることを期待したいものだ。
(サニーうどん)
最終更新:2017.12.09 05:11