もう十分だろう。韓国人や中国人の容姿や性格を侮蔑表現で攻撃し、犯罪を無根拠に中国、韓国になすりつけ、あげくはロシアに韓国へのミサイル攻撃を求める……。しかも、「サン毎」によると、この宮司は在特会の活動を紹介・擁護し、一方、在特会側も佐藤宮司が会長をつとめる右派団体のデモを告知するなど、同調している可能性があるという。
佐藤宮司は「サンデー毎日」に対して11月12日のブログで〈取材もせず想像や伝聞で記事を作られた(中略) 「言論の自由」を大きく侵害し 公共の福祉に反することのない個人の日記にまで 報道機関が「基本的人権」の侵略行為は 断じて許せません(中略) サンデー毎日に対して 弁護士をたてて 1億3、000万円の損害賠償を求める予定です〉と反論しているが、少なくとも佐藤氏の発言のいくつかが人種差別撤廃条約に違反し、国際社会の定義するヘイトスピーチにあてはまることはまちがいない。
そして繰り返すが、安倍首相はこんな発言をしている人物を「魂の日記」「戦後失われた日本人の誇りをテーマ」「自分の国は自分達が守らなければならないという強い意志」と絶賛しているのだ。「サン毎」も指摘しているように、国際社会から「安倍首相もヘイトスピーチを支持している」と受け取られてもしかたがないだろう。
いや、というより、安倍首相や首相に近い政治家たちは、実際にこうした極右ヘイト勢力とずっと蜜月の関係を築いてきた。選挙の際には彼らから支援を受け、彼らの主催・動員する集会に嬉々としてかけつけ、講演を行ってきたのだ。
それは、在特会やネオナチにかぎらない。安倍首相は政治団体「神道政治連盟国会議員懇談会」の会長をつとめているが、この政治団体の母体である神社本庁は国家神道、祭政一致をめざす極右団体で、この組織には佐藤宮司と同じ思想をもった宮司がたくさんいる。さらに、安倍首相やオトモダチの政治家は統一教会や生長の家のようなカルト的右派思想をもつ宗教団体から支援を受け、その集会や布教活動に協力してきた。
これはけっして偶然ではない。ようするに、安倍政権自体が国際社会で問題になっているヘイトスピーチ団体とほとんど同じ思想をもち、極右思想を掲げる組織と一体になっているからこそ、こうした癒着が起きているのである。
今回の総選挙の争点はけっしてアベノミクスの評価だけではない。何よりもまず、この極右ヘイト政権を阻止できるかどうかが問われていることを忘れてはならない。
(エンジョウトオル)
最終更新:2015.01.19 04:17