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女性アシスタントのマンガに興奮して…エロマンガ家の意外な日常

 くそう! 主人公の野郎、女性のアシスタントなんて雇ってやがる! しかもなんだお前この野郎、良い仲になっちゃってるじゃないか……。たしかに、徹夜作業とか続く仕事ではあるし、ひとつの部屋の中で何時間も一緒なら、良い仲になるのも当然といえば当然だろうさ。描いてる内容も内容だし、「徹夜でなんだか ハイな気分になっちゃって」とか言ってまぐわうというのもわからんでもない。花沢健吾の『アイアムアヒーロー』でも、序盤でマンガ家とアシスタントが関係をもっていたと思える描写があることからも、業界的になくはないことなんだろう。しかし、しかしだ。エロマンガ家がそれをしちゃったらダメだろう! 非リア充を慰めるマンガを描く人が、そんなまるで、リ、リ、リア充のようなことをしてちゃあ読者はなにを信じればいいんだ……。

 しかも、その関係をもったアシスタントが卒業し、同じエロマンガ誌で連載を開始。内容を拝見しているうちに興奮し、自分で自分を慰めはじめる、なんてシーンも登場する。エロマンガを女性マンガ家が描いているという時点で興奮するのに、それが顔見知り、しかも関係をもった仲なら、興奮もひとしおだろう。昔、ヤっちゃった同級生がAVに出ているような感覚に近いのかもしれない。ああ、オナニーなのに、すごくうらやましい。

 エロマンガ家のオナニーはもっとこう鬱々とした惨めな感じのものなんじゃないのか。たとえば、東浩紀が絶賛するほどのロリマンガの描き手、クジラックス先生はエロシーンを描いているときには、自分で実際にオナニーできるかどうかでそのエロさを確認するという話がある。こういう、もう本当にどうしようもない話を求めているのに、ページをめくれば出てくるのはリア充とみまがうばかりのシーンの連続。思わず「こんなの絶対おかしいよ」と某有名魔法少女アニメばりのセリフが飛び出してしまうほどだ。

 そんな、ある意味で驚愕のエロマンガ家の生態が描かれた『まるせい』。エロマンガ読者を絶望の谷底へたたき落とすかのような作品ではあるが、マンガ家にとってはある意味で福音ともいえる作品なのかもしれない。デビューできるかどうかわからないまま、編集者にひどいことをさんざんいわれながら少年マンガを描いているより、いっそ開き直ってエロマンガを描いたほうが、明るい未来が待っているのかもしれないからだ。まあ、保証はできないので、その選択は、あくまで自己責任で行っていただきたいが……。
(オンダヒロ)

最終更新:2014.08.01 06:27

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