「多分、いろいろ調べたんでしょう。私も霞が関にいたので、何をするのか見当がつきます」
このときは、結局、憂慮していた事態は起きず、泉田知事はその後も一貫して再稼働反対の姿勢を貫いていた。しかしそれから3年。原発ムラによる泉田おろしがとうとう、力を発揮してしまったということだろう。
もちろん、こうした見方に対して「陰謀論にすぎない」という批判があることは承知している。根拠のない謀略論を無自覚に流布させることは、一般の人から荒唐無稽と受け取られ、逆に原発推進を利する結果につながりかねないことも自覚しているつもりだ。
しかし、電力会社のバックには、官邸、自民党の存在があり、原発ムラは検察や警察にもネットワークをのばしている。前述したような福島や高浜で起きたケース、原発に批判的な研究者やメディアへのこれまでのさまざまな圧力を考えれば、今回もこうした工作が行われた可能性は非常に高い。
すでに東京電力は、15 年4月に「東京電力新潟本社」を設立し、東京本社からメディア担当を集結させ、以降、新潟で放送される民放各社に複数のCMを復活させている。雑誌や広報誌、そして全国紙の新潟県版にも広告を出稿するなど原発マネーをバラまき、“メディア包囲網”を着々と築いている。
そして新潟知事選は、泉田氏の出馬撤回で森民夫長岡市長に一本化され、森氏が知事に当選すれば、ほどなく柏崎刈羽原発が再稼働されることになるだろう。原発ムラの巨大な闇の前に我々はなす術がないのだろうか。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.24 06:53