画期的な宣伝方法を発明した倉持が自分ひとりでその手法を独占しなかったことがすごい。『My Girl』(KADOKAWA)vol.2掲載の、倉持由香と塚本舞の対談では、その理由として、現在のグラビア界の状況をあげている。
「尻職人を続けたことでお仕事も増えたんですけど、このまま一人の仕事が増えてもこの先は行き詰まるだけだなと。グラビアアイドル業界の畑自体が盛り上がってないと、私という作物は途中で枯れてしまうと思ったんです。だから、私一人だけじゃなく、業界全体を盛り上げないとって考えがありましたね」
この思想は塚本も共有するものだった。
「今、グラビアはサバイバルレースで、限られたパイをみんなで奪い合うような状態なんです。だから、グラビアアイドルをもっと身近な存在にするために、まずは母数を増やさないといけない」
しかも、この活動は周囲の反対を押し切ってのものだというから、彼女らのクレバーさには舌を巻くばかりだ。「ツイッターにタダで写真を載せることに抵抗はなかったんですか?」という質問に倉持はこう語る。
「全くなかったです。自画撮りはあくまでもサンプル。より多くの人に見てもらわないことには商品を買ってもらえないので、まず自分を知ってもらうためのティッシュ配りみたいなものだと思ってました。だけど、当時のマネージャーさんからは『DVDが売れなくなるだろう』と反対されて。でも、『いや絶対大丈夫なので、ちょっと見ててください!』ってやり続けた結果、アマゾンでDVDが見事1位になりました」
彼女らのDIYな活動は、多くのアイドルファンに支持され、いまだ48グループばかりがグラビアの表紙を飾る状況ではあるが、少しずつその牙城に切り込みつつある。
彼女らグラドル自画撮り部の成功を祈るとともに、ぱるるにも、運営から干され、同期たちが皆呼ばれたCMの仕事に選ばれず円形脱毛症になってしまうほど悩んだ苦労時代を思い出し、もう少し同業者への思いやりをもってくれれば、と願うばかりである。
(新田樹)
最終更新:2018.10.25 12:32