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岡山大・津田敏秀教授が「甲状腺がん多発は原発被曝と関係ない」派に反論

福島の甲状腺がん多発、行政や医療関係者の「原発事故と関係ない」の主張はデータを無視したデタラメだ

──あらためて今後、政府、医学界はこの問題にどう対処すべきとお考えでしょうか。

津田 今後、甲状腺がんの手術が激増していきます。しかも子どもだけでなく事故当時19歳以上の方が数的には増加するはずです。チェルノブイリのデータをみればそれはわかります。しかし甲状腺の外科医はそんなにたくさんいませんから、首周辺の外科医、具体的には耳鼻咽喉科医やその他の外科も含めて、甲状腺の外科手術ができる医師を戦略的に増やしていく必要があります。すでにパンク状態気味のようですから、手術までの待ち時間を短くしなくてはなりません。また白血病も潜伏期間が過ぎている。2011年内だけの被曝量から推論したWHOの2013年2月の発表でも、甲状腺、乳がん、白血病、その他の固形がん、あるいはがん以外の病気も一定程度多発するとされています。子どもだけでなく、今後の福島の人々の健康を調査、ケアするためにも、18歳以下の検診だけではダメです。全体の数を把握するためにも被曝手帳のようなシステムを作る必要がある(被曝者手帳の配布やがん登録の充実)。これは福島だけでなく、近隣、特に栃木県や茨城県などにも導入した方がいい。

──国は3月末から、年間線量が20ミリシーベルト以下になった地域の避難指示を解除することを決定しましたが、この点についてはどうしょうか。

津田 それは間違った情報にもとづく、完全に誤った判断です。被曝は、それを避けるために全財産や命を投げ打つ必要はないとは思いますが、できるだけ簡単な方法で、避けられる被曝は避けたほうがいい。何ミリシーべルト以下なら大丈夫ということはありません、それは国際機関でも意見が一致していることです。低ければ低いほうがいい。国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた年間1ミリシーベルト。それくらいを目安として守ったほうがいい。「20ミリシーベルト以下」という数値設定はあまりに高すぎます。毎年全員がCTスキャンを受ける高さですよ。そんな場所にすべての年齢の人たち、子どもから妊婦まで住まわせるなんて、おかしいことです。

(インタビュー・構成 編集部)

津田敏秀 1958年生まれ。医師・医学博士。岡山大学医学部卒業後、内科勤務。その後岡山大学医学部衛生学教室にて医学博士取得。岡山大学医学部(後、大学院医歯薬学総合研究科)助手、講師を経て、岡山大学大学院環境学研究科教授。専門は疫学、環境疫学、産業保健。

最終更新:2017.11.21 01:02

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