まず大前提として、公選法では選挙運動員は原則ボランティアと定めており、報酬を支払うと買収罪となりうる。たとえば車上運動員や手話通訳者などは選挙管理委員会に届けを出すことで報酬を支給でき、事務員についても同様に届けを出せば報酬を支払うことができるが、選挙運動をすることはできない。
さらに総務省が公開している、ネット選挙運動の解禁に際して「インターネット選挙運動等に関する各党協議会」が改正法の解釈や適用関係などを整理したガイドラインでは、「業者(業者の社員)に、選挙運動用ウェブサイトや選挙運動用電子メールに掲載する文案を主体的に企画作成させる場合、報酬を支払うことは買収となるか」という問いに対し、以下のような回答がなされている。
答え:
1 一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行っており、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払は買収となるおそれが高いものと考えられる。
2 なお、選挙運動に関していわゆるコンサルタント業者から助言を受ける場合も、一般論としては、当該業者が選挙運動に関する助言の内容を主体的・裁量的に企画作成している場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払は買収となるおそれが高いものと考えられる。
つまり、業者が主体的・裁量的に選挙運動にかんする企画の立案・作成をした場合、業者は選挙運動員とみなされ、報酬を支払うと買収になるおそれがある、というわけだ。
しかも、買収罪の刑に処せられた者が選挙運動の計画立案などをおこなう「組織的選挙運動管理者」など連座制適用の対象となる役割を担っていたと判断されれば、公職の候補者本人に連座制が適用されることになる。その場合、候補者の当選は無効となり、同一の選挙区から5年間立候補ができなくなる。
これらの前提を踏まえたうえで、あらためて問題の折田氏の「note」および発信を確認すると、氏の働きぶりはまさに選挙運動員とみなされても仕方がないものだった。