世耕氏の政治資金にかんする問題は支出だけではない。2014年には、世耕氏の資金管理団体が人材サービス派遣会社の会長ら役員が分散して個人献金をおこない、その献金額の合計が12年間で5430万円にものぼることが判明。政治資金規正法で定める限度額を超えることから、計画のうえでの違法献金の疑いが持ち上がった。
さらに2015年には、同じく世耕氏の資金管理団体が関西電力の原発関連業務を受注している兵庫県の設備会社幹部5人から個人献金の限度額である150万円ずつ計750万円を受け取っていたことも発覚。献金した社長らは「会社とは関係ない」と話していたが、献金の日付が集中しており、会社ぐるみで実質的な企業献金を個人献金に偽装し、世耕氏側はそれを承知で受け取ったのではないかとの見方が濃厚だった。
これらの疑惑は状況から限りなくグレーであったにもかかわらず、結局、その違法性を問われることはなく終わってしまった。今回の裏金問題でも世耕氏は「自分は刑事的には真っ白」などと主張し、立件されなかった事実を盾にして完全に開き直っている。
だが、居丈高な開き直りを見せるなかで、うっかりボロを出した場面もあった。それは問題の2022年8月5日の幹部会合について追及を受けていたときのこと。“誰か”から出された“裏金キックバック復活のためのアイデア”に世耕氏に賛同したというが、そのことに言及した際、世耕氏は「しっかり収支報告にも出るかたちで返そうではないかというアイデアが出た」「極めて適法なかたちで対応していこうというアイデアだった」と発言。これは、収支報告書への不記載は違法性があると認識していたことの自白にほかならない。
世耕氏は「知っていることは全部話した。説明は尽くした」と述べているが、有権者買収問題はもちろん、裏金事件についても、証人喚問に応じ説明責任を果たすのはもちろん、世耕氏には政治的責任をとる必要がある。そして、自己正当化に明け暮れるだけのこのような議員を、次の選挙では必ず落選させなければならない。
(編集部)
最終更新:2024.03.15 08:16