たしかに、室井佑月の降板劇を見ていると、『ひるおび!』という番組が、政権応援団か政権に批判的かで、コメンテーターの扱いを変えているのは明らかだ。
前述していたように、室井佑月は政権応援団番組『ひるおび!』で唯一、政権の不正や失政を鋭く指摘していたコメンテーターだった。
ところが、室井の結婚相手である前新潟県知事の米山隆一が昨年11月27日、次期衆院選で新潟5区に立候補することを表明すると、いきなりそれを理由に降板に追い込まれたのである。
しかも、出演して降板のあいさつさえさせてもらえず、江藤愛アナウンサーが室井の「公平性を担保すべきとのことで番組の皆さまとご相談の上、『ひるおび!』の出演は控えさせていただくことにいたしました」というメッセージを代読するだけで終わった。
この対応だけ見ると、「室井は親族が選挙に立候補を表明したのだから、降板は当然。八代弁護士のケースとは違う」と思うかもしれないが、そうではない。TBSでは、同じように親族が選挙に立候補したり、政治家をしていても、降板させられるケースとさせられないケースがあるのだ。
室井の降板が発表された直後、麻木久仁子がこんなツイートをして疑問を呈していた。
〈本人ではなく家族が立候補するからテレビに出られないなら、例えばお父さんが大臣のアナウンサーさんとか、夫が大臣のキャスターさんとかどうなるの? 大臣、出ますよね? 次の選挙〉
「お父さんが大臣のアナウンサー」というのは、田村憲久厚労相の娘で『ひるおび!』の放送局でもあるTBSのアナウンサー・田村真子のこと、「夫が大臣のキャスターさん」というのは小泉進次郎環境相を夫にもつ滝川クリステルのことだと思われるが、これはまさしく正論だろう。
室井が『ひるおび!』を降板させられた一方、家族が米山氏と同じ衆院選に立候補するはずの2人はその後も変わらずTBSの情報番組に出演し続けていたのだ。ダブルスタンダードと言うほかない。