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「憲法のせいで入国待機期間が延長できない」はやはり嘘だった! 今頃10日間に延長 怠慢を憲法に責任転嫁する菅政権

 いずれにしても、これで菅政権や大阪府の吉村洋文知事、橋下徹氏らが声高に叫ぶ「私権制限ができないから感染防止ができない」「コロナのような感染症に対応するには憲法改正が必要」という主張がいかにバカげたものであるか、あらためて明確になったと言えるだろう。ようするに、菅政権も吉村知事も、現在の権限のなかでやろうと思えばできることをやらず、責任転嫁のために「私権制限ができないせい」などと改憲に問題をすり替えているだけなのだ。

 これはもちろん水際対策だけの問題だけではない。たとえば、日本で感染拡大を抑え込めないのは「ロックダウンできないせいで人流が止められないから」などという主張があるが、第一波のときの緊急事態宣言時は外出制限が「要請」止まりでも人の移動はかなり抑え込んでいた。その効果が薄れてしまったのは、言うまでもなく補償が不十分であることに加え、「GoTo」などと人の移動を推奨する政策を感染拡大の局面でも推し進めたことや、この期に及んでも東京五輪開催を強行しようという菅政権の姿勢が感染防止策と完全に矛盾を引き起こしているためだ。

 また、「中国や韓国のように感染者の移動追跡など個人情報の活用が日本はできないせいだ」という主張もあるが、接触確認アプリ「COCOA」が業者丸投げでまったく機能しなかった問題を見ればわかるように、そもそもこの国の行政はそれ以前の状態でしかない。

 逆に、この国がコロナ対策に失敗しつづけているのは、初期の段階から検査体制を強化することをおろそかにし、そればかりか政府もお抱え専門家も「闇雲に検査すれば感染者が急増し、医療崩壊につながる」などという本末転倒も甚だしい考えに拘泥。その一方で安倍・菅という対策トップが経済優先しか頭になく、医療提供体制の拡充をはかることもなくきたからだ。

 その上、本サイトでは繰り返し指摘してきたように、菅政権はベッドを減らした病院に補助金を出すべく本年度予算で195億円もの巨額を計上。しかも、その財源はすべて消費税で賄おうという「病床削減推進法案」を、昨日21日の参院本会議で可決・成立させてしまった。

 繰り返すが、この国のコロナ対策が失敗し、感染拡大を抑え込めず、医療崩壊を起こしているのは「現行憲法のせいで私権制限ができないから」では断じてない。国民に負担や痛みを押し付けるだけで、検査や医療の強化・拡充という政府の仕事を放り出してきたせいだ。そして、コロナ感染拡大に乗じて改憲論議に結びつけようとすることがいかにナンセンスかは、今回の隔離期間の延長ではっきりとした。「憲法の制約」「私権制限の法律がない」などと筋違いの主張を繰り広げ、対策が遅きに失した責任は、すべて菅首相にあるのだ。

最終更新:2021.05.22 05:01

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