河野太郎公式サイトより
新型コロナの感染拡大で沖縄県が危機に瀕している。新規感染者数は昨日19日に過去最多となる203人にのぼり、病床占有率はついに100%を超えた。菅義偉首相は明日にも緊急事態宣言を適用する方向だと伝えられているが、またも遅きに失したと言うほかない。
しかし、そんな沖縄に対し、元沖縄担当相でもある自民党の重鎮議員が、耳を疑うような暴言を投げつけた。
発言者は、自民党・安倍前首相の出身派閥の領袖で、兄貴分ともいえる細田博之・元官房長官。19日におこなわれた党の沖縄振興調査会役員会において細田氏は、18日に沖縄の新規感染者数が168人にのぼったことを「由々しき事態であり、沖縄県の観光産業にとっても大ダメージ」と述べたのだが、「緊急事態とか、まん延防止とか、そんなものに頼ったって全然駄目です。効果はありません」「県民自治を今こそ発令すべき」とし、沖縄や北海道は「特別」なのだから県外から移動する人を「全員検査」すべきと主張。そして、こうつづけたというのだ。
「これはまさに地方自治の本旨であって、国の政策に頼るなんて、沖縄県民らしくないじゃない、と」
「国がなんとかしてくださいなんていうことを言わないで済むようにしてほしい」
「沖縄県が自らこういう政策をとりますと、一国二制度でいいんですと」
「だから沖縄県はコロナ天国にしなさいと。一人の感染者もないようにできるのに、なんで168人も出るんだって。バカじゃないか。そうでしょ。旅行者が持って来るに決まってるんだから。米軍が持って来るわけでもないだろうし」
沖縄は国を頼るな。168人も感染者が出るのはバカじゃないか。細田氏はそう主張したのである。
まったく何から何まで酷い。そもそも、「緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に効果はない」と言うのなら、まずは政権与党の議員として菅首相に対策の抜本的見直しを迫るべきだ。にもかかわらず、「国の政策に頼るなんて、沖縄県民らしくない」などと突き放し、挙げ句、感染拡大状況を「バカじゃないか」とまで言い放つとは……。
とくに聞き捨てならないのは、「国の政策に頼るなんて、沖縄県民らしくない」という発言だ。これは沖縄県民が米軍新基地建設反対を訴えていることを踏まえた嫌がらせ発言としか思えない。
県民を危険に晒す政府の政策に反対していることをもって、新型コロナ対策で「国に頼るな」と言い放つのは政府としての責任を放棄した「棄民」の発想であり、この緊急事態に「普段から言うことを聞け」と恫喝する行為ではないか。