もうひとつ多かったのが、文書の中にあった録音データについての批判だ。
小室氏が借金でなかった証拠として、2012年9月の話し合いの際、婚約者が「(お金を)返してもらうつもりはなかった」と発言した録音データがあることを明かしたのだが、ワイドショーやネットニュースはこの証拠に納得するどころか、逆に「隠し録音するような人物は信用できない」と大合唱を始めたのだ。
坂上忍は『バイキング』で「僕がびっくりしたのは、録音しといたほうがいいって、そこですぐ録音するんだ」「なんか頭のいい人ってやること、すごいなって思っちゃって」と嫌味たっぷりに揶揄。宮根誠司も『情報ライブ ミヤネ屋』で、「録音データと言われると、ちょっとね…」と違和感をあからさまにした。
しかし、この批判はどう考えてもおかしい。改めて説明しておくが、2012年9月の話し合いというのは、小室氏の母親が元婚約者から婚約を破棄したいという申し出を受けたもの。ようするに、小室氏側は一方的に婚約破棄を通告された被害者なのだから、音声を採っておくというのは当然の行為だろう。それをあたかも、日常会話を盗み録りしたかのように捻じ曲げて印象操作するのだから悪質というほかはない。
その後も同様だ。12日に、小室氏の代理人が解決金を払う意向を表明しても、「言っていることが違う」「文書が反感を買ったから手のひら返し」「金を払えばいいってもんじゃない」と、結局非難の嵐。
そして、15日発売の「週刊文春」が、元婚約者が返済を求める音声の入った音声データを報じると、ネットもワイドショーもそれに乗っかって「小室文書と食い違い」「小室さんのウソ」などと、あたかも小室氏の主張が虚偽であるかのように煽り立てはじめた。
しかし、「週刊文春」が出してきた音声データは、元婚約者の「返してもらうつもりはなかった」という発言があったとされる2012年9月の婚約解消の話し合いから11カ月後の2013年8月に行われたもので、このことは小室氏の文書にもはっきりと記されている。
婚約解消の話し合いでお金を「返してもらうつもりはなかった」と言われたにもかかわらず、2013年8月に元婚約者より返済を求める連絡があったため、面会。借金と認識していないため要望に応じかねると返答したと、説明されているのだ。
ようするに、「週刊文春」の出してきた音声は、元婚約者が方針を変えて、返済を求めてきたときの会話を録音したものにすぎず、それによって、小室氏の文書の嘘を証明するものでもなんでもない。
それどころか、「週刊文春」の音声データには、元婚約者から「返す意図はないと」と問われた小室氏が「あ、すいません。返すというか、もともと贈与を受けているという風に認識しております」などと返答するやりとりが収録されており、むしろ、文書の主張の信ぴょう性、眞子内親王との婚約報道以前から小室氏側の認識・対応が一貫していたことを証明するものでもある。
ところが、「週刊文春」やワイドショーは、婚約解消から1年近く経った2013年8月の話し合いの新音声データのほうが重要性・信憑性が高いとしてし、小室氏が提示した婚約解消の話し合いの音声を否定するのだ。『バイキング』などは、小室氏が録音した2012年の音声データに質問部分が入っていないことをあげつらい、「切り取り」「歪曲」「誘導」とまで言っていた。