いくつかの要因が重なったものの、埼玉県知事選での自公推薦候補敗北は、安倍政権の退潮傾向に拍車をかけるものだ。参院選では安倍首相が二回応援に入った激戦区で2勝6敗と大きく負け越し、32の一人区でも野党統一候補が10勝と善戦を許した。同じように埼玉県知事選でも、菅氏自身が二回応援演説に入り、懐刀の三浦氏が選挙参謀を務めた埼玉県知事選でもまさか逆転負けを喫したのだ。
大野氏勝利を受けて国民民主党の玉木雄一郎代表は談話を発表。「与野党激突の厳しい戦いを制したことは、次期衆院選に臨む我々にとっても大きな展望を切り開く」「より一層の野党連携を進める」と意気込んだが、10月には大野氏辞職に伴う参院選埼玉選挙区補選がある。「埼玉から安倍一強を崩していく」と大野陣営関係者は勢いづき、野党系候補が連勝する可能性は十分にあるだろう。
今回の埼玉県知事選の教訓は、野党一丸となって戦えば、自公推薦候補を打ち破れることを実証したことだ。奇跡の大逆転勝利によって、これまで話題性に乏しい地味な埼玉が、安倍政権打倒の気運を高めた先進地として全国的に注目されるのは間違いない。
(横田 一)
最終更新:2019.09.02 11:49