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安倍首相が参院選でついた9のインチキ総まくり(後編)!

安倍首相が年金問題で信じがたい詐術!「基礎年金は6万3000円を確保できる」→実質賃金40%アップ想定の数字だった

 そして、この選挙戦で安倍首相が「隠している」最たるものといえば、「財政検証」だろう。これについても、安倍首相は以下のように必死になって「隠しているのではない!」と強弁している。

その7
「我々、別にこれ、数字が悪いから隠しているんではない。たとえば、出生率ですね、(前回の財政検証では)1.35という予想だった。足元で1.4に、良くなってますね」
「(年金積立金の)運用益で、これは1.7で想定していたんですが、いま運用は4.5で回っています。ですから、悪いから隠してるっていうことではなくて」(テレビ朝日『報道ステーション』党首討論など)

→「36年後に積立金枯渇」の指摘も……悪い数字は無視する安倍首相

 2015年にぶち上げた「アベノミクス新3本の矢」では「出生率1.8」を掲げていたのに、「1.4になった、良くなってますね」と言い募るとは呆れるが、ここで安倍首相が挙げているものは“都合の良い数字”だけ。
 実際、党首討論では国民民主党の玉木雄一郎代表がすかさずつっこんだ。
「それ、いい数字だけ言ってるんです。例えば名目の物価上昇率は、前回5年前(の財政検証では)、最悪でも1.3だったんです。それは達成できていません。それと生産性の上昇(全要素生産性上昇率)は最悪でも0.5だったんですけど、この前、最新の2018年の実績値が出てきたら、実績値は0.3ですよ。5年前に想定した一番悪いケースよりも生産性が下がっています」
 
 ちなみに、2017年の全要素生産性上昇率を前回の財政検証にあてはめると、「36年後に積立金が枯渇する」結果になるという。
 
 だが、こうした都合の悪い数字を国民に伏せ、「年金は大丈夫なのか」という国民の不安に対し、「マクロ経済スライドありき」でしかものを語らない安倍首相。たとえば、その正当性を強調するために喧伝しているのは、こんな話だ。


その8
「マクロ経済スライドの調整がすべて終わった後、物価上昇分を差し引いたとしても、6万3000円の給付は確保できる」
「物価上昇分を除いた実質で見てもですね、基礎年金においては、マクロ調整が終わった段階でも6万3000円は、これ、確保できます」(『報ステ』など)

→「6万3000円」は実質賃金が40%上がった場合という現実離れした設定だった!

 マクロ経済スライドによる調整が終わる2043年のあとも、6万3000円は給付できる──。こう断言されると安心するかもしれないが、この発言にもとんでもないカラクリがあるらしい。共産党の志位和夫委員長は、安倍首相にこのように反論したからだ。
「ちょっといまの数字、間違っている。いま安倍さんの言った数字は、実質賃金が40%上がっているという架空の計算なんですよ。で、いまの賃金と物価の水準で計算したら3割下がるんです」
「この数字(6万3000円)は、賃金が1.4倍になる(という計算)。実質賃金がですよ」
 つまり、安倍首相が言っている数字は、2043年までのあいだに実質賃金が物価を上回り、なんと約4割も引き上がるという現実離れした設定のもとで弾き出されている、というのである。志位委員長は安倍政権下で実質賃金は約14万円も下落していると指摘したが、実際に現在も実質賃金は前年同月比で5カ月連続のマイナスという状態にある。それが約40%も上がる前提で安心を振りまくなど、完全に詐欺ではないか。
 しかも、安倍政権は7月2日、マクロ経済スライドを適用しなかった場合の2043年度の基礎年金給付額は「マクロ経済スライドの適用があった場合と比べて約7兆円増加すると見込んでいる」という答弁書を閣議決定した。「増加」などと言っているが、勘違いしないでほしい。これはつまり、マクロ経済スライドの適用によって7兆円、約3割も給付額を減らすと言っているのである。しぶん赤旗(7月6日付)によると、これを個別の給付額に当てはめると、現在の基礎年金(国民年金)満額月6万5000円が月4万5000円になる計算というのだ。

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