ある程度「盛られた」話であり、どこまでが真実なのかは留保する必要があるとは思うが、それでも海外企業から「クレイジー」と言われたことを「武勇伝」として笑い話にしてしまうこと自体に、吉本全体を覆うコンプライアアンス意識の低さがよく表れている。
きょう、吉本興業が発表した「コンプライアンスに関する決意表明」も同様だ。そもそも、この段階で「決意表明」って、ゆるさにびっくりだが、中身も〈二度とこのような事態が起こらないよう、改めてタレントに対するヒアリングを実施し、そこでコンプライアンスに反する関係や行動等が判明したり、疑義が生じた場合には徹底的に明らかにしたうえで速やかに対処いたします〉などと、芸人個人へのさらなる責任押し付けを叫んでいるだけで、タレントとの契約書締結や最低生活保障などについては、一切ふれていなかった。
そして、こうした吉本興業の姿勢を後押ししているのが御用マスコミ、とくに吉本興業の株主でもあるテレビ各局だ。実際、昨日まではあれだけ闇営業問題を大々的に報道していたワイドショーの多くはきょうになって、気持ち悪いくらいに報道をぴたりとやめてしまった。やったとしても、せいぜい入江だけを責めるようなものだった。(スリムクラブの速報が入ってからはやっていたが)
おそらく吉本と御用マスコミはこの期に及んでもなお、具体的な責任も対応策もとることなく、表面的な謝罪で乗り切れると踏んでいるのだろう。
しかし、きょうも、スリムクラブの暴力団関連のイベントへの闇営業が明らかになり、吉本興業から無期限謹慎処分が発表された。これも当初、吉本の自主的な聞き取り調査によって判明したかのように報じられていたが、実際は明日発売の「フライデー」のスクープによって発覚したものだ。吉本興業が姿勢を改めないかぎり、同種の問題はこれからも続発するだろう。
(田部祥太)
最終更新:2019.06.27 11:43