先の総選挙の公示日2日前、2017年10月8日夜、見城社長は『徹の部屋』に安倍首相を呼び、見城社長は「ずーっと安倍さんのファン」「すごくハンサムですよ。内面が滲み出ているお顔ですよ」などと歯が浮くようなヨイショを連発、ゲストの有本氏らと一緒に“接待放送”を繰り広げた。
有本氏によれば、当日、放送前の控え室で高部氏に呼ばれて見城社長と面会、見城社長は「マフィアの親分みたいに」「(楽屋の)真ん中にド〜ン!と座って」いたという。そして、見城社長からその場で「なんかさ〜、百田さんが歴史の本書くらしいんだけどさ、それウチだよな!」と口説かれたというのだ。
『日本国紀』を幻冬舎から出版するという計画が、安倍首相の生出演時に飛び出したというのは偶然とは思えない。しかも、本サイトでも指摘した(https://lite-ra.com/2018/11/post-4381.html)ように、同書は最終的に安倍首相が悲願とする憲法改正の必要性を訴えるかたちで締めくくられている。見城社長も、先月の『徹の部屋』でこう力を込めていた。
「この本の大きな意義の、いっぱい意義はあるんですけれども、憲法改正ですよね。いかにこの憲法がデタラメのなかで押し付けられた憲法なのかっていうのがつぶさに書いてあります」
「自民党というのは党是として憲法改正を掲げてたわけだから。これもここ(『日本国紀』)にきちんと書かれていますけれども、その流れも全部。だから憲法改正は当然のことなんですよ。ね。それを憲法改正はいけないことだという、このなんか、野党の風潮というのはよくわからないね」
さらに、60年安保デモの際、岸信介が官邸で「本丸で討ち死にするなら男子の本懐ではないか」と語り、「兄さん、二人でここで死のうじゃないか」と言う弟の佐藤栄作とともにブランデーを飲んだ、という『日本国紀』で紹介された“美談”を持ち出し、こう続けたのである。
「もう涙がでる話だね。だからその孫である、安倍晋三さんが、いま、憲法改正をしようと、努力しているっていうのは、本当につながっている話だよね」
こういう発言を踏まえてみると、あらためて『日本国紀』という本は、見城社長の“安倍ラブ”によって、現在のかたちになってしまったのではないかと勘ぐりたくもなってくる。いずれにしても、百田氏、有本氏はもちろん、製造責任が問われている幻冬舎もまた、今回の一連の騒動や疑惑について、ちゃんと読者に説明する必要がある。
(編集部)
最終更新:2018.12.06 11:44