津川氏は芸能界きっての安倍応援団のひとりとして、2012年9月に発足した「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」では発起人をつとめ、自身のブログでも再三「安倍晋三氏は政治家には勿体ない程の、人徳と誠実さの持ち主」「安倍総裁ばんざい!」「安倍総理はつくづく純粋な政治家」とエールを送ってきた。
そして、安倍首相はこうした応援を受けて総理に返り咲くと、首相直轄の有識者会議「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」の座長に津川氏を抜擢。一方で津川氏の後輩俳優である奥田瑛二や中井貴一らと会食を繰り返し、今年1月5日におこなわれた津川氏の快気祝いと誕生日祝いを兼ねたパーティには米倉涼子や木村佳乃、佐々木希、泉谷しげるといった大物芸能人が詰めかけたが、そこにも安倍首相は参加。津川氏を介して改憲キャンペーンのための芸能人人脈を広げているのではないかと囁かれた。
つまり、安倍首相は自分を応援してきてくれた極右思想の俳優を有識者会議の座長に引き立てた挙げ句、訃報を受けて異例中の異例である首相官邸での会見まで開いた。──自分の“お友だち”の死に際して、ここまで特別なかたちで弔意を表した総理大臣がかつていただろうか。
自分にとって大切な人を亡くすのは悲しいことだろう。だが、そうした私的な感情を公的な政治の場にもち込み、特別扱いをするのは、総理大臣としてありえない行為だ。そして、この権力を笠に着た露骨な身びいきの姿勢、公私混同の体質こそが、森友・加計学園問題のような政治の私物化を引き起こしたのである。
しかも、そのことをさんざん批判されてきたのに、安倍首相は相変わらずこうして“お友だち”だけを優遇するという“特例”を見せつけるのだ。