予算委員会で答弁する柳瀬唯夫・元首相秘書官
「私はいまでも愛媛県や今治市の職員が同席者にいたかはわからない」「(面会は)来る者拒まず」「(加計関係者との面会を)総理には報告したことはない」──人を食ったような答弁に終始した、昨日の柳瀬唯夫・元首相秘書官の参考人招致。「膿を出し切る」どころか、むしろ加計学園がいかに特別な厚遇を受けてきたかが浮き彫りになった。
ところが、安倍自民党はどこまでも逃げる気だ。
実際、自民党の竹下亘総務会長は昨日、柳瀬氏の参考人招致後に「何か『えっ』という話はどこにもなかった」と語り、森山裕国対委員長も「一定の区切りがついた」と発言。あの茶番劇で幕引きを図ろうというのだ。
さらに、本日夕方、安倍応援団のひとりである反町理キャスターがメインを務める御用番組の『プライムニュース イブニング』(フジテレビ)に緊急生出演した安倍首相は、こう主張した。
「柳瀬さんはひとつひとつ記憶を呼び起こしながら誠実に答えていた」
「柳瀬さんも私からの指示を受けたことはないと述べたが、私から指示を受けたと言う人は誰ひとりいないのは事実」
「(加計との面談を柳瀬氏が首相に報告しなかったことは)全然問題ない」
さらに安倍首相は、「加計学園獣医学部の倍率は約20倍。これまで獣医学部の申請がされなかったことは、はっきり言って『行政が歪められていた』と思う」とまで述べた。
行政を歪めた張本人が“歪められた行政を糺した”と正当化するとは、まったく厚顔無恥も甚だしいが、しかし、獣医学部新設が「加計ありき」だったことを裏付ける、新たな証言が出てきた。
それは、京都府とともに国家戦略特区での獣医学部新設に名乗りを上げていた京都産業大学の大槻公一元教授だ。
大槻氏は「鳥インフルエンザ研究の第一人者」と呼ばれる人物で、京産大は獣医学部新設に向け、2006年に大槻氏をセンター長に迎えた「鳥インフルエンザ研究センター」を、2010年には動物生命医科学科を設置するなど、入念な“準備”と“実績”を重ねてきた。にもかかわらず、「広域的に獣医学部のない地域に限る」「2018年度開学」といった加計に有利な条件が次々に打ち出され、新設を断念した。このことについて、大槻氏は昨晩放送された『報道ステーション』(テレビ朝日)の取材に応じ、「私たちの計画にいきなりフタをかぶせられてしまいました。国のやり方はアンフェアだと思います」と述べた。