いや、そもそも佐川前理財局長の「嘘」は、今回の一件に限らない。たとえば、「(ゴミの撤去費用は)適正に算定されたもの」(2月15日衆院財務金融委員会)という答弁も、「近畿財務局から学園側に対して法令等に基づく契約手続きの前に土地の鑑定価格等を示した事実はございません」(2月24日衆院予算委)という答弁も、「価格につきまして、こちらから提示したことも先方からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」(3月15日衆院財務金融委)という答弁も、すべて虚偽だったことが音声データ記録や会計検査院の調査によって判明している。とんでもない大嘘つきではないか。
にもかかわらず、この“オオカミ中年”はご存じの通り国税庁長官というポストに昇進。国税庁や税務署には苦情が相次いでいるというが、確定申告で書類がなかったり虚偽が見つかれば厳しく罰せられることを考えれば、平気な顔をして「記録は破棄した」と嘘をついた人間が国税トップという冗談のような現実に非難が殺到するのはあまりに当然すぎるだろう。
しかも、佐川長官は、日本税理士会連合会が発行する「税理士界」(1月15日付)において、同会の神津信一会長との対談でこんなことを語っている。
「些細な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます」
「リスク管理として、必ず上司に報告するよう徹底させています」
いやいや、もうすでに佐川氏の対応によって「組織の信頼」は財務省・国税局ともに失っているから、とツッコまざるを得ないだろう。その上、佐川長官は国税職員向けには、このような訓示を述べているという。
「公務員に対する国民の目はますます厳しくなっている」
「綱紀の厳正な保持に努め、行政文書・情報の管理の徹底に特段の配意をしていただく」
綱紀の保持、行政文書・情報の管理の徹底──。いま、もっとも「お前だけには言われたくない」一言である。