今国会では、安倍政権が森友疑惑の幕引きのために必死だが、そんななか、安倍首相の側近中の側近である現役大臣に、有名マルチ商法の“広告塔”疑惑が浮上した。
先月、東京に本社を置く預託商法大手・ジャパンライフ社に、家庭用磁気治療器の預託取引や訪問販売などで法令違反が認められたとして、消費者庁が9カ月の一部業務停止を命じた。ジャパンライフ社の山口隆祥会長はマルチ界隈での“レジェンド的存在”。マルチ商法が社会問題になっていた1975年には国会に参考人招致され、85年には再び「マルチまがい」との批判が殺到し国会集中審議入り、また90年代前後には韓国の合弁会社が大規模なマルチ商法被害を引き起こし、91年には関税法等、95年には薬事法違反の疑いでたびたび書類送検されている。
実は、このジャパンライフ社については、悪質商法を行っている疑いがあるのに処分が遅れたという見方があり、今月5日の国会で共産党の大門実紀史参院議員が追及。今回の業務停止命令が、15年9月の立ち入り検査から1年3カ月も遅れた背景に、消費者庁の課長補佐が同社に天下りしていたほか、複数の高級官僚OBが同社の「顧問」などに就任していることが働いたのではないかと指摘。さらに、下村博文元文科相への政治献金もあったことを暴露した(しんぶん赤旗6日付)。
大門議員は11日の参院財政金融委員会でも引き続きこの問題を追及。そのなかで、現役大臣で安倍首相の側近議員でもある加藤勝信・一億総活躍担当相の名前が飛び出したのである。
大門議員によれば、加藤大臣は今年の1月13日にジャパンライフの山口会長と会食をしていたという。さらに山口会長は、内部向けの宣伝チラシで、加藤大臣のことを「ジャパンライフの取り組みを非常に高く評価していただきました」と紹介していたという。この意味について、国会で大門議員はこう解説した。
「(ジャパンライフに対する)1回目の(行政)処分が(昨年)12月16日にありまして、(同社の)なかが非常に動揺している時期ですね、契約者も本当に大丈夫ですか?だまされているんじゃないですか?と動揺している時期に、加藤大臣の写真入りで山口会長と会食したということが宣伝されて、安心してください、と、いまの大臣も評価してくれているんです、と、いうことで、内部向けにチラシが撒かれているわけです」
ようするに、加藤大臣はジャパンライフの“広告塔”であり、メンバーを安心させる“印籠”になっていたというのだ。