宮内庁ホームページ「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」より
今月頭の皇室会議で、今上天皇の退位と皇太子の即位の日程が正式に決定した。2019年4月30日をもって、平成は30年あまりで幕を閉じ、5月1日にあらたな元号を迎える。
そんななか、宮内庁長官が14日の会見で、「週刊新潮」(新潮社)に対して抗議を行ったことを明かし、その席でも「事実に全く反し、国民に大きな誤解を与えるもので、極めて遺憾だ」と強い調子で新潮を非難した。
実は、宮内庁がマスコミ報道にたいして行う抗議には2種類ある。ひとつは宮内庁の官僚がアリバイ的に行っているもの、この場合は宮内庁次長などが口頭で抗議するだけで、文書などは送付しない。もうひとつは天皇皇后の希望で出される本気の抗議で、このケースでは、メディアサイドに抗議文書を送付。宮内庁のHP内にある「皇室関連報道について」というコーナーに抗議文が掲載されるのがパターンになっている。
たとえば、昨年のNHKによる「天皇陛下『生前退位』の意向」スクープに対しての対応は典型的な前者だった。宮内庁は口頭では否定したが、NHKに抗議文書を送ることもHPに抗議文が出ることなく、後日、NHKを裏付ける「おことば」の表明となった。
一方、今回の「週刊新潮」のケースは抗議文書を送付したうえ、「皇室関連報道について」に抗議文を掲載しており、完全に後者、天皇皇后の意向をふまえた本気の抗議だ。
「しかも、一週刊誌の記事に宮内庁長官が会見のなかでこれだけ強い調子で抗議を行うというのは、何年もなかったことです。今回は明らかに天皇陛下の相当に強い意向があったと考えるが自然でしょう」(ベテラン皇室記者)
では、天皇を怒らせた新潮の記事はいったいどういう内容だったのか。抗議を受けたのは、12月14日号の特集記事「「安倍官邸」に御恨み骨髄「天皇陛下」が「心残りは韓国…」」。といっても、宮内庁が今回、新潮に抗議した箇所は、タイトルにある「天皇陛下が安倍官邸に御恨み骨髄」だとか「韓国訪問できなかったことを心残りに思われている」といった、記事のメイン部分ではなかった。
抗議の対象はただひとつ、記事の33ページに掲載された官邸関係者の打ち明け話だった。以下に全文を引用しよう。