そこで、本サイトは「Hanada」の花田紀凱編集長に、電話で疑問を直撃した。花田編集長は飛鳥新社出版部とともに同書刊行に携わり、宣伝広告についても花田編集長が関与していた。
――奥付の発行日は10月の22日ですが、その数日前から書店に並んでいた。選挙期間中です。選挙期間中に緊急出版するためにこの本のスケジュールを……。
花田氏「えっ、いや、それは全然ありません。選挙がいつあるかというのも僕らは全然知りもしないわけだから」
――ただ、自民党が小川さんの本を大量に購入し議員や党支部に配っていたという報道がありました。この本を読んでくださいというかたちの書面付きで。自民党が大量に小川さんの本を購入していたという話を花田編集長はご存知でしたか。
「もちろん知ってますよ。……だって、その、出した本がたくさん売れれば嬉しいわけでしょ。だから出した本をどっかの団体がですね、面白いと、あるいはどっかの企業が面白いからこれ社員に読ませたい、とかね、思って買ってくれればそれは嬉しいわけでしょ? それは、なんていうか、ありうる話でしょ? どんな場合にも」
――でも5000部というのはかなりの数字です。5000部というのは事実かどうかご存知ですか。
「知ってますよもちろん。まあ、その、別に答えなくてもいいんだけど。うん」
――できれば実際の数字を。
「まあそれに近い数字ですよ。はい」
――雑誌と比べると単行本で中吊り広告を出すのは珍しいですが。
「まあ、あのー、この本は我が社では力入れていたんですよ。“対朝日”ですからね。で、しかもその中身からいってですね、非常に僕も感心しましたし、読んでほしいなと思って、えー、社としても力を入れていたんですよ」
――業界関係者の話ですが、自民党からの5000部の大量購入を見越していたからこういった大々的な広告が打てたんじゃないかという見方もありますが。
「それは全然ちがいます。関係ない。だってあの、なんていうか、買いたいって言ってきたのはずいぶん後ですから」
――ずいぶん後って、ちなみにいつですか。
「いや、それはもう、あのー、もしそういうあれがあったら調べてくれよ。調べて確認してよ。俺の方からそんなに君に教える必要も全然ないし。そうだろ?」
――自民党や安倍官邸筋から支援を受けていたんじゃないかという見方もある。
「それは下衆の勘ぐりっていうんですよね、そういうのを」
――最後にひとつだけ。今回の朝日の申入書での言い分では、弊社の方あるいは弊社の取材班に(小川氏から)取材の申し入れは一度もなかったと主張しています。なぜ取材しなかったんですか。
「あれはだって、そういうあれじゃないですか。これは改めて返事はするんですけど、ようするに新聞に報じられたことについて論評しているわけですから。分析・批評しているわけなので、別に(朝日に)聞く必要ないんですよ。新聞に書いてあることがどうかってことを言ってるわけですから」