竹下亘公式ホームページより
またも自民党から問題発言が飛び出した。昨日、自民党の竹下亘総務会長が、天皇・皇后が開催する宮中晩餐会について、岐阜市内で開かれた党支部のパーティーで、こんな話をしたのだという。
まず、竹下総務会長は、2013年フランスのオランド前大統領が国賓として来日したとき、オランドが事実婚のパートナーを伴ったことを挙げ、こう述べた。
「奥さんではないパートナーだという女性が天皇、皇后両陛下と並んで座るわけだから、どう対応しようかと宮内庁は悩んだ」
よく知られているように、フランスにおいて事実婚は法律婚と同等の権利が保障されるPACSという制度があり、多くのカップルがこの制度を選んでいる。そうした事情を無視して「奥さんではない」と切り捨てるとは一体どういうことかと思うが、竹下総務会長は「問題はここから」とし、このようにつづけたという。
「(国賓の)パートナーが同性だった場合、私は(出席に)反対だ。日本国の伝統には合わないと思う」
つまり竹下総務会長は、国賓の要人が、自身の国の法律に則って同性婚したパートナーのことを、「日本国の伝統」に反するから宮中晩餐会への出席を拒否すべきだ、と述べたのである。
じつは、こうした「拒否案件」はすでに起こっている。2015年6月にA・カーステン・ダムスゴー駐日デンマーク大使が離任の挨拶のために宮中を訪問した際、同性婚相手のパートナーを外務省が配偶者として認めなかったため、パートナーを同伴して宮中で離任挨拶が叶わなかったというのだ(「サンデー毎日」2015年7月12日号/毎日新聞出版)。宮内庁関係者は「外国で正式な婚姻関係にあるのであれば、同伴を認めてもいいのではないか」という議論があったことを明かしており、外務省の判断であった可能性が高いと見られる。
竹下総務会長は「日本国の伝統」などともち出すが、差別的な伝統よりも普遍的価値である人権を尊重するのが民主主義国家としては当たり前の話。だいたい、これは相手国で法的に認められている関係を認めないという、外交的にも大問題の対応だ。
実際、今年5月、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相は同性婚のパートナーであるゴーティエ・デストネ氏を伴ってNATO首脳会議に出席し、デストネ氏はメラニア夫人ら各国ファーストレディたちとともに行事に参加している。また今年3月には、伝統的には同性愛に厳しかったカトリック教会のローマ法王フランシスコも2人をカトリックの総本山バチカンに招待している。