「ほんとうにね、安倍さんにがんばっていただかないと、日本は経済も立ち行かなくなるし、北朝鮮からも守れないし、外交も歴代の総理大臣でこれだけのことをやった方はいないですよ」
「世界が外交においても認めている総理大臣は誰もいない」
「ほんとにメディアは報道すべきことを報道しない」
「着々と、いろんなことをやっているんですよ。それをね、ちゃんと報道しないっていうのもおかしなことなんだけども」
さすがは「作家転がしの名手」と編集者として名を馳せてきた見城というべきか。とにかく褒めて褒めて褒め上げるというヨイショの波状攻撃を仕掛け、安倍首相の大好きなメディア批判を展開したのだ。
この流れに、末延も「日本のメディアは権力監視を勘違いしている」と追随。有本は「日本のメディアはね、そういう人たちだから」と吐き捨てると、北朝鮮について「年末に何かあるんじゃないか」と危機を煽り、さらに「すごかったんですよ、インドで大歓迎だったんですよ! 全然日本のメディアには載りませんでしょう!?」と、「保守速報」の見出しを並べたような話をつづけた。
まったくうんざりするような内容だが、驚いたのは、末延と安倍首相のこんなやりとりだった。
「総理がつらいのは、じっと聞いていなきゃいけない。反対した人も含めてね、日本の暮らしを当然守る責任がある仕事ですよ。そこはしようがないですよね、総理大臣になったんだから」
すると、安倍首相はこんなことを言い出したのだ。
「それは当然そうなんですね。私に批判的な人たちに対しても、総理大臣としては、その人のですね、生活(政策?)に対して……」
滑舌のせいで「生活」と言ったのか「政策」と言ったのかは判別できなかったが、どちらにせよ、安倍首相が批判者の話を「じっと聞く」ことなど、したことが果たしてあっただろうか。市民には「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と指差し、総理大臣でありながら国会で「早く質問しろよ!」「日教組!日教組!」などと野党議員にヤジを飛ばす。それでよく「反対者の批判をじっと聞くのは当然」などと言えたものだ。
しかも、「それでも腹が立つでしょ?」と水を向けられ、「まだまだ人間ができていませんからね(笑)」と殊勝なことを口にすると、「いい人すぎるんですよ」(見城)「正直ですよ」(末延)と絶賛の嵐……。またも安倍首相は気分がよくなって、笑顔でこう語り出した。
「久々にそう言っていただけて、うれしいです。もう、いままでずっと『安倍独裁』とか言われてですね、そんなことはやっぱりなんですねえ」