いや、それどころか実際、杉田氏はもっと女性や育児に冷徹な言葉を平気で吐いている。たとえば「保育園落ちた日本死ね」ブログが話題になった際には、〈「保育園落ちた」ということは「あなたよりも必要度の高い人がいた」というだけのこと。言い換えれば「あなたは必要度が低いので自分で何とかしなさい」ということなのです〉と自己責任論で突き放したと思えば、続けて驚くべき電波的妄想を開陳。なんと、待機児童問題を“コミンテルン陰謀論”にすり替えたのである。
〈子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしているわけです〉
〈旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです。
これまでも、夫婦別姓、ジェンダーフリー、LGBT支援-などの考えを広め、日本の一番コアな部分である「家族」を崩壊させようと仕掛けてきました。今回の保育所問題もその一環ではないでしょうか〉(産経ニュース16年7月4日)
ちょっとヤバすぎて困惑するが、とりあえず、女性の社会進出や待機児童問題を“コミンテルン陰謀論”で語ってしまうような人を本当に国会議員にしていいのか、とだけは言っておこう。逆に言えば、こんな“女性の権利を主張してはならず、家庭にいるのが女性の役割”“コミンテルンが日本の「家族」を崩壊させようとしている”などと主張するトンデモな人物を擁立することこそ、安倍自民党の「女性の活躍」や「待機児童ゼロを目指す」などという政策がハリボテであることの証左である。
もっとも、杉田氏がヤバいのはその男尊女卑思想やコミンテル陰謀論だけではない。杉田氏はバリバリのヘイト政治家でもある。本人は「在特会とは全く関係ありません」などと言っているが、実のところヘイト系の関連団体や人物と共に活動を行なってきた。
たとえば杉田氏は「なでしこアクション」という極右団体が主催する集会に参加しているのだが、その代表の山本優美子氏は元在特会の幹部。後述するが、その山本氏と仲良く国連の女子差別撤廃員会などに出かけ、慰安婦問題を否定する活動に邁進している。また、13年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導したヘイトデモに協力した在特会関連団体「そよ風」とも交流、メンバーと仲良く写真に収まっている。