長尾敬公式HPより
自民党の長尾敬衆院議員が、いわゆる「泉放送制作デマ」のフェイクニュース拡散を呼び掛けたことについて「事実ではなかった」とデマであることを認め、謝罪していたことを、本日、共同通信が伝えた。
長尾議員といえば、2015年に百田尚樹が「本当に沖縄の二つの新聞社はつぶさなあかん」と発言した「文化芸術懇話会」で「(沖縄メディアは)左翼勢力に乗っ取られている」などと言い放ったほか、沖縄の新基地建設に反対する市民活動を〈反社会的行動〉と評するなど筋金入りの極右議員。ほかにも〈報道しない自由という名の印象操作〉などと何度もツイートして、この間のネット右翼によるメディアバッシングを促進してきた。
その長尾議員が飛びつき拡散に加担したのが、問題の「泉放送制作デマ」だった。
「泉放送制作デマ」とは、加計学園問題などで政権支持率が急落した今年6月半ばからネット上で突如広まったデマで、内容は「泉放送制作という会社が民放5局のあらゆる報道・情報番組を制作しており、この会社の主導によって加計学園問題などで安倍政権を貶める偏向報道が行われている」、さらに「泉放送制作は金富隆という在日プロデューサーが仕切っており反日工作として仕掛けている」などというものだ。
ネトウヨの間で広まっていたこのデマは、6月20日にバイラルメディアの「netgeek」が「日テレ・フジ・TBS・テレ朝の16番組以上を1つの制作会社が担当して偏向報道やりたい放題。日本は乗っ取られた」なるタイトルで記事にし、〈マスメディアの中で最も影響力の強いテレビがいつの間にか制作会社に実質的に乗っ取られ、偏向報道が繰り返されるようになっていた〉〈都合のいいコメントをしてくれる劇団員を雇い、効率よく撮影していく〉などと書き立てたことで、さらに広まっていく。これらの記述はもちろんすべてまったくの事実無根なのだが、あろうことか長尾議員は自身のTwitterで7月12日、このnetgeekによるフェイクニュースのURLを貼りつけながら〈拡散!情報戦です!〉とツイートし、国会議員でありながら、虚偽かつ悪質な「泉制作放送デマ」を拡散したのである。
本サイトは「泉放送制作デマ」について、7月19日の記事で、泉放送制作およびTBSなどの複数のテレビ関係者に取材し、これを検証。泉放送制作がたんに、各番組にディレクターやアシスタントディレクターなどを1人から数人、人材派遣しているにすぎないこと、金富氏は泉放送制作の社員ではなくTBS社員で、在日でもないことなどを指摘し、こうしたネトウヨの投稿がまったくの事実無根であると断じた。そして、デマ発生の経緯も独自に検証し、背景にグロテスクなレイシズムが存在することを指摘した。
長尾議員は8月に拡散を呼び掛けたツイートを取り消し、netgeekも該当記事を削除しているが、いまだにネット上にはデマを信じ込み、このフェイクニュースを広める動きも残っている。
以下、本サイトの検証記事を再録するので、ぜひこの機会にいま一度、「泉放送制作デマ」がどれだけトンデモなものであるか、そしてネトウヨどころか長尾議員のような国会議員がこのようなデマを拡散することがいかに危険なことかを再認識してほしい。
(編集部)