周知のように、7月28日に発表された監察結果では、稲田氏に対して「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できない」としながら「書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」という玉虫色の結論となっていたが、これは、陸上自衛隊幹部による「稲田防衛相が隠蔽を了承した」とする証言を稲田氏が強硬に否定したためであり、「稲田氏に日報の存在を報告、了承をうけた」と陸自が監察に証言していたことは明らかだ。
しかも、防衛省幹部の手書きメモでは、陸自に日報データが残っていたことを知った稲田氏があきらかに狼狽えながら「明日なんて答えよう」と発していたことが記録されていた。
このように、稲田氏が日報データの隠蔽にかかわっていたことはもはや決定的なのだが、それでも稲田氏は“知らないものは知らない”“了承なんかしてない”と無茶を通したのである。
その上、監察結果が発表された同日におこなわれた記者会見で、稲田氏は、なんと“いまはもう日報は公開されている”として「隠蔽の事実はなかった」と言い切ってさえ見せた。
いやはや、何を言っているんだか。そもそも日報が情報公開請求された際、防衛省は文書もデータも「破棄した」と説明していたのである。その破棄されたはずのものが統幕で見つかり、その後、陸自でも見つかった。そして陸自で保管されていたことがわかっても、その事実を公表しなかった。これらの行為こそが「隠蔽に次ぐ隠蔽」であって、稲田氏が「いまは日報を公開しているから隠蔽じゃない」というのは問題を問題として未だ認識していない最たる証拠だ。
そういう意味では、稲田氏が防衛相を辞めたところで、日報隠蔽の責任を取ることにはまったくなっていない。稲田氏の虚偽答弁はそれこそ議員辞職に値するものであり、今後も徹底的に追及する必要がある。
ところが、自民党は驚くべき行動に出た。日報隠蔽問題をめぐる閉会中審査への稲田前防衛相の出席を拒否したのだ。同党の竹下亘国対委員長は「稲田氏は辞任といういちばん重い責任の取り方をしており、辞任した大臣を国会に呼び出すことはやってはいけない」などと主張している。つまり、“大臣を辞めれば説明する責任なんかもうない”と言うのである。最初からわかっていたが、これが安倍首相の言っていた「国民に丁寧に説明」の実態なのだ。
いや、それどころではない。自民党はさらに呆れ果てた言動を始めた。昨日開かれた自民党の国防部会で飛び出した自民党議員たちの発言だ。