さらにもうひとつ噂されていたのが、今回、籠池逮捕という結果を生み出した補助金詐欺告発の動きだ。数カ月前、安倍官邸と松井一郎大阪府知事の間で、「大阪府が籠池理事長を口封じするため刑事告発する」という裏取引があったといわれているのだ。
「3月頃、松井一郎大阪府知事が「小学校設置は近畿財務局の要請。国は相当親切」「安倍首相は忖度を認めよ」などと批判、橋下徹氏もテレビ番組で「国から相当の圧力を受けたらしい」と口にするなど、国に責任を押し付けていた。これに官邸が激怒したという情報も流れ、両者の間は相当にぎくしゃくしていた。ところが、4月に入って、両者が手打ち。安倍首相が関与する国有地問題にさわらせないために、大阪府が籠池理事長の刑事告発を引き受けて、大阪府の補助金詐欺事件として処理させる、という約束が交わされたんじゃないかといわれていいます」(在阪の社会部記者)
実際、松井知事は4月に入って、突如、森友学園への刑事告訴の検討を表明するのだが、それ以降、国や安倍首相を批判する言動を一切封印している。一方、政府は4月11日に2025年万博の大阪誘致を閣議了解している。また、この前後、維新側は悲願であるカジノ構想での協力などを取り付け、官邸は共謀罪法案での維新の協力を確かなものとすることで手打ちにしたとの見方が広がっていた。
実際、共謀罪が成立して、国会が終わった直後、官邸や昭恵夫人に触らなくてもすむ大阪府の補助金詐欺に、国交省の補助金的適正化法違反を加えるかたちで、森友学園への強制捜査が行われた。そして今回、加計問題の閉会中審査が終わったのを見計らったように、まず国交省の補助金詐欺容疑のほうで籠池前理事長を逮捕したのである。これが「口封じ逮捕」でなくなんだというのか。
「検察はこのあと、大阪府の補助金の件でも詐取で再逮捕する予定です。そうやって籠池理事長を黙らせたあと、マスコミにどんどん籠池氏の詐欺実態をリークしていくでしょう。それで“詐欺師が勝手に安倍首相の名前を使ってやっただけ”というイメージを拡散していくはずです」(前出・司法担当記者)
ただ、こうした状況をくつがえせる可能性はゼロではない。数日前、NHKが国有地売却をめぐって近畿財務局と籠池理事長側が売却金額について事前協議し、財務局側が分割払いも提案していたことをスクープしたが、これは明らかに政府内部のリークであり、財務省や検察内部にも国有地問題の解明を求める職員や検事がいることの証明である。
安倍一強体制が崩れつつあるいま、国策捜査を批判し、真相解明を求める声が広がっていけば、検察も動かざるをえなくなる。そのためにも、国民とメディアは諦めずに声をあげ続ける必要がある。
(編集部)
最終更新:2017.08.01 06:52