自由民主党HPより
九州北部を襲った記録的豪雨の被害は日を追うごとに大きくなっている。9日午前10時現在、死亡した人は18名、行方がわかっていない人は少なくとも20名以上といい、避難者数も約1700名におよんでいる。いまなお自衛隊によって懸命な捜索活動が行われているが、道路が寸断されて復旧活動が進んでいない地域も多い状態だ。
このように被災地で不安や心配が募るなか、到底信じがたいニュースが伝えられた。災害対応の最高責任者である安倍首相は、予定通り外遊をつづけるというのだ。G20は終わったというのに、そのままスウェーデンに向かい、日本時間9日未明、ストックホルム・アーランダ国際空港に到着した。
そもそも、安倍首相は7日開幕のG20首脳会議出席の前にベルギーを訪問するため、5日午後羽田空港を出発。しかし同じ5日の午前5時55分の段階で島根県浜田市や益田市などに最大級の警戒を呼びかける特別警報を発令。気象庁も「重大な危険が差し迫った異常な事態」と会見で述べ、その後、福岡県や大分県で局地的な大雨が降り、土砂災害警戒情報が出されるなど危機感が高まる状況となっていた。無論、安倍首相もこうした現況を把握していたはずだ。
そして、同日夜には避難者の孤立などが伝えられ、菅義偉官房長官も臨時会見を開き「情報を政府もふくめ確認しきれていない部分がある」と発表。被害状況が拡大するなか安倍首相はベルギーに到着し、NATO本部でストルテンベルグ事務総長との会談や、全国農業協同組合中央会の副会長との面会などをこなした。さらにドイツに場所を移し、トランプ大統領や文在寅両大統領、プーチン大統領らと会談。8日にG20首脳会談に出席、夜には閉会セッションが行われた。
だが、G20が閉会したあとの予定は、スウェーデンとフィンランド、デンマーク、エストニアへの訪問という緊急性のない日程だ。事実、北欧への訪問は4月にも予定されていたが、北朝鮮情勢を理由に取りやめている。しかも、今回はすでに大きな被害が出ているのだ。だいたい、国のトップが国内での災害発生を受けて訪問を中止したり外遊を切り上げることは普通にあることで、訪問先の国々もそれで文句を言うことなどない。
にもかかわらず、安倍首相は昭恵夫人とともにドイツから北欧に旅立ってしまったのだ。