菅義偉ホームページより
5日の衆院決算行政監視委員会で、またも菅義偉官房長官が“前川攻撃”を繰り広げた。今度は「天下りを隠蔽していた責任者」「自らの進退は示さなかった」「世論が厳しい状況になってはじめて自ら辞めた」「今年3月末の定年まで、事務次官を続けたいと打診があり、私はそんなことは駄目だと(言った)」などと国会で一方的に述べ、暗に“役職にしがみついた卑しい人物”を印象付けたのだ。
これに対して前川氏は「次官を続けたいと申したことはありません」と完全否定したのはもちろん、辞職申し出が天下り問題が初めて報道されたのより2週間も早かったこと、3月は国会会期中であり次官が国会会期中の交代を想定することはそもそもあり得ないことなど、具体的な根拠と日付を示して、完膚なきまでに反論。スガ語で「ご指摘は当たりません」と締め括った。
まさしく、菅官房長官の謀略デマ情報を使った印象操作の手口が明らかになったかたちだが、しかし、毅然と反論した前川前次官の気骨ある対応と対照的に、だらしないのがマスコミだ。
とくに官邸記者クラブに属する新聞・テレビはこの官房長官にはまったく逆らえず、会見でも、例のスガ語で「批判には当たらない」「まったく問題ない」と返されると、そのまま沈黙。デタラメな言い分をただ垂れ流すということを繰り返している。
だが、昨日午前の定例記者会見で、1人の記者がその菅官房長官に屈することなく、徹底追及を試みた。その記者とは、東京新聞社会部で、権力の不正に対して鋭い調査報道に取り組み、『武器輸出と日本企業』(角川書店)の著者としても知られる望月衣塑子氏だ。
望月記者は、前川前次官に対する人格攻撃、国家戦略特区による加計学園獣医学部新設のプロセスの矛盾、、政権の説明不足、さらには山口敬之氏のレイプ事件捜査問題までを俎上にあげ、菅官房長官が木で鼻をくくったような返答をしても、まったく怯むことなく、手を変え品を変え質問を続けたのだ。
ところが、このやりとりを御用新聞の産経新聞が、山口氏のレイプ事件ツブシの部分だけを削除するかたちで報道。ネトウヨやネトサポたちが中心になって、望月記者を攻撃し始めた。望月記者の追及を「執拗な嫌がらせ質問」「失礼だ」などと罵り、途中、「菅官房長官自身が直接、バーに行って話を聞くつもりはないか」と質問したことをあげつらって、「この女記者、頭がおかしい」「マスゴミ女のキチガイ率は異常」「こんなバカの対応とか、菅さんが可哀想すぎるわ」「さすがは国賊・頭狂新聞の記者だわ」などとわめき立てているのだ。
しかし、望月記者の追及は記者として当然の行為だし、その質問におかしいところは何もない。異常でおかしいことを言っているのはいったいどっちなのか。改めて、菅官房長官と望月記者のやりとりを紹介しよう。