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高畑勲監督が沖縄の基地問題を描き続ける三上智恵監督と対談、安倍政権を止められない苦悩を吐露

 三上監督の言う通りだろう。日誌改ざんの問題はもちろん重要だが、一方でマスコミは、南スーダンPKO派遣や安保法に基づく駆け付け警護の任務付与自体の是非を、正面からほとんど取り上げてこなかった。しかし、事実として、自衛隊はいつ隊員が犠牲になってもおかしくない「戦闘」にさらされていたのだ。これを追及せずして、メディアはいったい何を報じているのか。それは、トランプによるアサド政権への先制攻撃の問題にも通じる話だ。

 奇しくも、高畑監督と三上監督のトークイベントが終わったすぐ後、安倍首相が、アメリカへの強い「支持」を表明した。さらに「東アジアでも大量破壊兵器の驚異は深刻さを増しています。国際秩序の維持と、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを、日本は高く評価します」と発言し、トランプによる北朝鮮への“先制攻撃”に期待感をのぞかせた。だが、仮にアメリカが北朝鮮へ攻撃を開始したら、その報復攻撃の「標的」となるのは日本だ。沖縄の米軍基地が攻撃され、国民の血が流れる。

 そうした現況で、マスコミが報じるべきは、こうした安倍政権の態度が日本を確実に戦争へと導いているという事実に他ならない。にもかかわらず、とりわけテレビメディアは、政府の対応の危険性にほとんど言及しようとせず、逆にトランプと安倍首相の挑発に対する北朝鮮側の反応ばかりを報じ、その“危険性”をひたすら煽り、人々の恐怖という感情を刺激しているだけだ。

 沖縄の基地問題もそうだが、安倍政権は「戦争はごめんだ」という人々の感情を逆手にとり、「戦争をしないために」との名目でその準備を進めてきた。そして、気がつけば、すでに片足を突っ込んでいた。高畑監督が「『火垂るの墓』では戦争は止められない」という表現で警鐘を鳴らしてきた状況は、いみじくも、いま、この瞬間こそを言い表している。

最終更新:2018.04.13 07:32

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