山本氏は13日の参院内閣委でも、パチンコやスロットなどによるギャンブル依存症の危険性を指摘しながら、国がこれまでほとんどケアをしてこなかったことについて、こう糾弾している。
「パチンコ・スロットのホール、全国のローソンよりも多い1万2000館。世界中にあるパチンコ・スロットの機器が720万台中で、3分の2が日本にある。これ、誰がつくり出したんですか? 国ですよ。政治ですよ。それに対する依存症患者がたくさんいると思われる。すでに重症化している人たちたくさんいますよ(略)。それを国として野放しにするような状況で、ずっとエスカレートさせてきた現実があるじゃないか。カジノ解禁、じゃないんだよ。IRがどうしたって話じゃないんだよ。まず目の前のここに対策しろっていう話だと思うんですよ。それが政治なんじゃないのか?」
だが、安倍政権はこうした問題を置き去りにしておきながら、カジノ解禁法案についてほとんど議論することなく、強引に成立へと導いてしまった。その拙速な成立の裏には、山本氏が国会で「セガサミー(のため)か?」と叫んだように、安倍首相とセガサミーホールディングス会長・里見治氏の“蜜月関係”があるとみられている。
パチンコ業界大手のセガサミーは、12年に韓国のカジノ企業と合弁会社を設立、来年4月には韓国・仁川に大型カジノリゾートをオープン予定で、今回のカジノ解禁法案の恩恵を大きく受ける企業だ。セガサミーはここ数年、国内カジノ利権の主導権を握るため政界工作を行ってきたといわれており、事実、13年に開かれた里見会長の愛娘の結婚披露宴には、森喜朗ら首相経験者や菅義偉官房長官などの大物閣僚が駆けつけて、とりわけ安倍首相は新婦側の主賓まで努めている(ちなみに、このセガサミーと安倍首相の関係に関しても山本氏は13日の内閣委で堂々と述べていた)。
さらに「選択」(選択出版)13年9月号の記事では、里見会長の側近の一人が「参院選前に、里見会長は安倍首相に五千万円を手渡した」と吹聴したと報じられるなど、カネをめぐるキナ臭い噂も流れている。
また、IRの大阪誘致を目論むなど自民党以上にカジノ解禁法案に積極的だった日本維新の会も、セガサミーとは無関係ではない。橋下徹氏(現・法律政策顧問)は大阪市長時代に「大阪カジノ構想」をぶちあげたが、その橋下の大学時代からの友人で、松井一郎大阪知事(当時)が13年に大阪府教育長に抜擢した中原徹氏は、部下へのパワハラが発覚し辞職してからわずか1カ月あまりで、セガサミーホールディングスの役員に就任している。