しかし、「朝鮮人へのえこひいき」などというのは、一見、公平性を訴えているように見えるが、本質はそこにない。だいたい、行政が外国との交流の一環で、土地や建物を貸し出したり、活動を協力したりすることはよくあることだが、実際、東京都は過去にフランス人学校に都立高校の跡地を売却している。だが、「フランス人へのえこひいきだ!」などという声はまったくあがっていない。
つまり、小池都知事が韓国人学校だけを槍玉に挙げ、「都民ファースト」の名のもとに土地貸与を撤回したことを手柄として誇る行為は、小池の特定民族に対する差別を表明しているようなものだ。しかも、東京に住む「都民」たる韓国人への嫌悪感情をより一層煽る、政治家にあるまじき悪質な言動である。
だが、これこそが小池百合子という人物の正体なのだ。
本サイトでは何度も指摘してきたが、小池はこれまで民族差別を助長する言動を繰り返してきた“ヘイト政治家”である。
たとえば小池は、2010年に在日コリアンの虐殺まで扇動するヘイト市民団体「在特会」(在日特権を許さない市民の会)の関連団体である「そよ風」主催、在特会女性部協賛の集会で講演をおこなっている。この「そよ風」という団体は、慰安婦問題や関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、13年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導したヘイトデモに協力している。こんな団体に呼ばれて嬉々として講演をしていることからも、小池氏とヘイト勢力との蜜月は明らかだろう。
しかも、小池がこの在特会との関係について外国人特派員協会での会見でジャーナリストの江川紹子氏から糾された際には、「いろんな講演会に招かれることはしばしばございます。しかし私は在特会という、最近よく出ておりますけど、それについてはよく存じておりません」(「ハフィントンポスト」2016年7月8日付)などとシラを切った。
在特会の前代表である桜井誠は、15年12月に法務省から違法な行為としてヘイトスピーチをおこなわないようにと勧告を受けている。このように在特会はヘイト団体として問題化しているというのに、それを「よく知らない」などと言ってのける人物が、いま、首長を務めているのである。東京都が掲げる「多文化共生」「世界をリードするグローバル都市」など推進できるはずがあるまい。