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辺野古移設反対に取り組む「芥川賞作家」が逮捕された! 見せしめ不当逮捕で運動潰しを狙う安倍政権の卑劣

〈今日で補充教員が終わるという日に、こういうことがありました。放課後、机の片づけをしているときに、教員室で教頭と校長が話をしているのが聞こえてきました。ひとりの生徒がフェンスの金網の破れ目から米軍演習場に入り、機関銃の標的の所から銃弾を拾って家に持って帰った。それが家族に見つかって学校に連絡があり、どうしようか、と相談していました。もし、生徒が入っているときに射撃演習が行われていたら、大事故になりかねませんでした。その場には何名かの教師がいましたが、とにかくマスコミに知られてはいけない、絶対に口外しないように、と校長が教師達に指示しました。
 校長や教頭の話を聞いていると、学校の施設も米軍基地関連の補助金で作られているものがある、と防衛施設局との関係を気にしていました。そのとき、大きな“歪み”を意識せずにはおられませんでした。本当なら、むしろマスコミに明らかにして、生徒が入り込むような演習場の危険性を告発するのが、教育者としての校長の役割だったはずです。しかし、彼はそうしなかった。マスコミに知られて問題が大きくなり、補助金に支障が出ないかという意識が彼を縛っていたのです。近くで聞いていたほかの教師も誰も校長に反論しなかったし、私にしても、何もしないで学校を去りました。補充教員を今日で終わる自分が口出しはできない、と自己合理化して。〉

 目取真氏は、基地の被害も地域社会でより弱い立場にある者がより大きな危険にされられると書いている。それは、本土決戦の「捨て石」とされた沖縄戦でも同じだった、と。だが、本土の人々はそうした現実を見ないばかりか、政府による“沖縄いじめ”に加担すらしてきた。

〈日本のために沖縄が犠牲になるのは仕方がない。金のために沖縄県民は基地を受け入れたじゃないか。差別意識丸出しの本音を恥じらいもなく口にするヤマトゥンチューが最近は増えています。(略)ヤマトゥの都合に合わせて振り回されても、いつまでもウチナンチューがおとなしく従順であるはずがない。〉(前傾書より)

 この『沖縄「戦後」ゼロ年』が出版されたのは2005年のことだ。それから10年が過ぎた。だが、この本土による沖縄の構造的差別は、解消されるどころか、安倍政権になって苛烈さを増している。

 周知の通り、沖縄県では一昨年の知事選で辺野古移設反対と「オール沖縄」を掲げた翁長雄志氏が圧勝。しかし、翁長氏が知事就任のあいさつに永田町を回った際、菅義偉官房長官ら幹部は誰も会おうとすらせず、15年になっても新年度予算の申請で上京したときにも自民党の会合への出席を拒否され、関係閣僚との会談もできなかった。

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