いずれにしても、同じ本を著者名を変えて出すなどというのは前代未聞。こんなことが、出版倫理上許されていいわけがない。『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』はまさに自らの出版経緯において、歴史修正を行っていたというわけだ。
とはいえ、「朝鮮人虐殺はなかったというデマなんてしょせんこの程度のいい加減な作家がつくりだしたデタラメにすぎない」と笑って済ませるわけにはいかない。
事実、ネット右翼たちは、本の内容がどれだけトンデモで論理破綻していても、その表題や見出しだけで、本当に「朝鮮人虐殺はなかった」と信じ込み、それをどんどん拡散させているのだ。
前述の『さらば、ヘイト本!』のなかで、加藤直樹氏は、「虐殺の歴史を否認することで、未来の虐殺を準備することになりかねない」と指摘している。何度でも繰り返すが、こうしたデマを垂れ流す本をけっして放置容認してはならない。
(小杉みすず)
最終更新:2015.09.01 11:30