もう、お分りだろう。論理や理屈ではないのである。「中国が恐いから」「中国に対抗したいから、理屈や論理をすっ飛ばして(法的安定性を無視しても)、早くやらなければならないという考え方だ。冒頭の礒崎氏の発想とまったく同じなのである。
そして、対談はこう締めくくられる。
百地「本質的な解決は、憲法9条第2項を改正して軍隊を持つことでしょう」
長尾「その通りです」
浅野「同感です」
だが、彼らの論理でいくと、もはや「中国に対抗する」という大義名分があれば、憲法改定しなくても軍隊を持つことができると思うのだが……。
しかも、恐ろしいのは、憲法学会では相手にもされないようなこうしたトンデモな意見が日本の政治では大手をふってまかり通ろうとしていることだ。もはや、日本は法治国家ですらなくなろうとしているのかもしれない。
(野尻民夫)
最終更新:2015.07.30 02:14