そもそも、亜希氏が弁当にこだわる理由というのが、彼女の母親にあるという。母親は13年前にガンで他界しているが、「何年も使い続けているしわくちゃのエプロンをつけ、台所に立つ丸くて小さい母の背中」だと振り返る。だから、息子が弁当ではなく友だちと一緒にコンビニで買うと言ったときには、息子の気持ちを汲み取りつつも、こう語る。
「でもね、ママはママのお弁当であなたに大きくなってもらいたいと思ってる。そのお弁当を力にしてホームランを打ってほしい! それに私はお母さんのお弁当が食べたくても、お母さんが亡くなったいまではもう食べられないんだよ」
そう話すと、涙を流し始めたという息子。亜希氏は「いつまでも食べられると思うなよ、母ちゃん弁当! まだまだコンビニには負けないぞ!」と文章を締めている。
亜希氏に2本立て続けで撮影の仕事が入っていた日には「今日はオレらで晩ご飯作っておこうか」と長男が自ら提案したり、次男もお品書き付きの夕食を用意したり。この弁当本を読んでいると、母ちゃんと息子たちの生活は順調に進んでいることがわかる。そうなると、ついつい頭に思い浮かべてしまうのは、昨年離婚した和博氏の現状だ。
和博氏はいまでも家族、とりわけ2人の息子に未練タラタラで、今年のはじめに「アサヒ芸能」(徳間書店)でテリー伊藤氏と対談を行った際には、洗濯物を溜め込みすぎて乾燥機を壊してしまったことや、食事は行きつけの韓国料理店かコンビニかだと話し、侘びしい生活を吐露。いまは「後悔」しかないと言うと、その理由をこんなふうに語っている。
「息子からの手紙に「野球を教えてください」って書いてあるんですよ。そんな手紙、一緒に生活している時はそんなに心に入ってこなくて、夜、銀座に出たり、飲みに出たりとかしていましたけど……息子たちがいなくなって初めて、彼らの思いがすごく伝わってきたんですね……(声を震わせ目に涙がたまる)」
一時は自殺も考えたと言う和博氏だが、それを思いとどまったのも息子たちの存在があったから。和博氏は「息子たちが野球をしている姿を見て、もうちょっとその成長を見ていたいという気持ちが湧いてきたんです」(同前)と語っている。