吉村知事も「公務」としてこのネトウヨ番組に出演するのはさすがにまずいと理解しており、だからこそ公務日程から外しているのだろう。実際、6月2日放送回には吉村知事自身が維新の会の本部から出演していると語り、“普段は公務としてテレビに出ているが、『虎ノ門ニュース』では政治的な話になるので政務として出ている”とわざわざ弁明。ちなみに、この2日に同番組に出演していた百田尚樹氏や有本香氏は番組終了後、吉村知事も〈応援してます、なう〉と投稿した愛知県の大村秀章知事のリコールを呼びかける会見をおこなっている。
新型コロナ対策に追われているはずの身で、大村知事リコールを煽るネトウヨ文化人の番組にわざわざ出演する……。本サイトでは愛知県と大阪府の新型コロナ対応を比較、大阪府は愛知県よりはるかに感染者数を抑え込めておらず支援体制も乏しいことなどを指摘したが(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2020/06/post-5448.html)、この間、吉村知事が力を入れてきたことといえば、それはテレビに積極的に出演しつづけることで“やってる感”を演出することだったのは、公務日程からもあきらかだ。
だが、問題があるのは吉村知事だけではない。首長による新型コロナ対応を客観的に検証すべきメディアがその責任を放棄し、とくにテレビは「ウケがいい」という理由で吉村知事を出演させ、無批判に持ち上げつづけていることだ。とりわけ在阪のテレビ局は「吉村知事の奪い合い」のような様相であり、視聴者が「異常」だと声をあげるのも当然の状況に陥っている。
メディアを手懐けてテレビに露出しまくり大衆を煽るという政治手法は橋下徹氏が実践してきたものだが、この問題点をさんざん批判されてきたというのに、その反省もなく、同じ過ちを繰り返す在阪メディア。「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」という声がここまで大きくあがったことを、メディアはしっかり直視するべきだ。
(編集部)
最終更新:2020.06.09 08:15