しかし、そうなってくるとカワイソウなのは、安倍首相の熱烈な支持者であるネトウヨたち。実際、FNNのスクープをフェイク扱いし、「拉致はこれまで散々言ってきただろ!」などと周回遅れの騒ぎ方をしたネトウヨ諸賢だが、これで、当の安倍首相からは完全に置いてけぼりをくらってしまった。
ちなみに放送時のTwitterでは、首相生出演の前半こそ〈加計の後はセクハラ。フジテレビ狂ってる!北朝鮮の核や拉致問題よりこんなくだらないことの方が重要なのか?〉などといきり立っていたネトウヨたちだが、安倍首相が金正恩発言を認め、日朝首脳会談に前向きな発言をするやトーンダウン。〈安倍さんも、もっと北朝鮮にガツンと言ってやればいいのに!〉とか〈北朝鮮もチャイナも見てるテレビでペラペラ手の内喋れるわけ無いだろ?〉との苛立ちや戸惑いがみてとれた。
それでも連中はへこたれないだろう。たとえば、安倍首相は日朝関係だけでなく日中関係の改善にも必死になっており、つい最近も来日した中国・李克強首相を厚くもてなして視察先の北海道へ同行、新千歳空港からの帰国まで丁寧に見送ったというが、しかし、ネトウヨたちは〈同行は監視〉とか〈何か怪しいなぁ〉とか言って妄想をフル回転。いっこうに現実を直視しようとせず、相も変わらず〈志那&朝鮮とは国交断絶有るのみ〉〈反日特亜に騙されてはいけない〉などと叫んでいる。
とすれば、北朝鮮の非核化や日朝会談、そして拉致問題解決への一番の障壁となるのは、実は、こういう極右応援団やネトウヨ連中たちなのかもしれない。
ふざけて言っているわけではない。事実、これまでも安倍首相は、コアな支持層である極右界隈やネトウヨたちの顔色を伺って、政策や発言の“左ブレ”を絶対に“右”の範疇に留めてきた。もっとも、それは安倍晋三という政治家が本質的にネトウヨということでもあるのだが、米韓と中国を中心に北朝鮮問題が平和的解決へ向かういま、ようやく乗り遅れたバスを追いかけている安倍首相に、いつ“ネトウヨ病”の発作が起きたとしても不思議ではないだろう。
その意味でもやはり、どれだけ安倍主首相に主体性がなくとも、世論は、絶対にこの対話の方向性を止めないようにしなくてはならない。安倍首相は国際社会の潮流のなかで対話路線に接近せざるをえなくなったわけで、だからこそ、私たちはこの流れをもっと積極的につくっていくべきなのだ。
是非とも安倍首相には、ネトウヨから「反日売国総理」「北朝鮮のスパイ」と言われるぐらい頑張ってほしい。
(編集部)
最終更新:2018.05.12 12:14