NHK『ニュースウオッチ9』HPより
ついにはじまった通常国会での予算委員会。新たな音声データや近畿財務局の記録が出てきた森友問題に、茂木敏充経済再生担当相の公職選挙法違反疑惑、沖縄で相次ぐ米軍事故と「何人死んだんだ」という暴言ヤジなど、安倍政権の姿勢を問う質疑がおこなわれた。そして、相変わらず安倍首相はすべての質疑において「真摯に」答えることなどなく、さらにはその口からは問題発言も数多く飛び出した。
ところが、テレビをつければ日本相撲協会の理事長選の話題ばかりで、安倍首相の居丈高な答弁や、安倍政権の不誠実な対応はほとんどお茶の間に届けられることはなかった。
なかでも酷かったのは、御多分に洩れず「安倍さまのNHK」。とくに、NHKにおける帯のニュースの看板番組である『ニュースウオッチ9』(以下『NW9』)の報道だ。
たとえば、予算委員会がはじまった1月29日(月)の『NW9』のトップニュースは「週末にまた東京で雪?」。次に大相撲問題を報じ、ロシア反プーチンデモ、仮想通貨流出とつづき、番組開始から約32分経ってようやく予算委の話題となった。だが、そこからはじまったのは、「何人死んだんだ」ヤジについて与党議員からも批判が相次ぎ、安倍首相も「お詫び」を述べた、というものだった。
自民党議員が質疑の時間を使っておこなったのは、この日、投開票日だった名護市長選への影響を抑えるためのたんなるパフォーマンスにすぎなかった。現に、この日の質疑では野党議員から再三、日本と同様に米軍を置くドイツのように米軍機の飛行は政府の承認を条件とするよう日米地位協定を見直すべきといった具体的な対応が求められたが、そのことは無視。こんな報道では「与党も安倍首相も反省しているらしい」ということしか伝わらず、何が根本的な問題なのかがまったく見えてこない。
しかも、『NW9』では安倍首相の「お詫び」につづいて、財務省前理財局長である佐川宣寿国税庁長官が就任記者会見も開いていないことを野党が追及、これに対して麻生財務相が「国税庁の所管行政以外に関心が集まっていたから実施しないと決めたと聞いている」「就任にあたっての抱負は文書で出しているので適切な対応」と答弁した場面を流した。
さらに、話題は茂木経済再生担当相の線香配布問題に移ったが、こちらも「線香に名前は入っていない」「公選法199条の3に則っている」という茂木大臣の答弁でVTRは終わり。スタジオはこれらの質疑についての解説、受けのコメントなどは一切なく、次のニュースに入った。