実際、首相夫人でさえ、マスコミタブーの壁は分厚かった。昭恵夫人は今回の本には書いていないが、自身もそのタブーに阻まれたことがある。一昨年、今回とは別のエッセイ本にこのA氏の問題を告発しようとして、エッセイ本自体がお蔵入りしてしまったことがあるのだ。
「このエッセイ本は幻冬舎から出版される予定でした。幻冬舎の見城徹社長と安倍首相の関係から始まった企画で、一昨年夏には、原稿もほぼ出来上がっていたようです。ところが、吉松氏の一件の詳細が書かれていたため、幻冬舎の見城社長が出版を断ったらしい。見城社長は周防社長と昵懇であり、側近中の側近ですからね。安倍首相との関係があるとはいえ、見城社長が周防社長にたてつけるはずはない」(出版関係者)
今回、出版された『「私」を生きる』が、このお蔵入りしたエッセイではないかといわれている。
昭恵夫人は現在でも吉松氏のA氏告発支援を継続しているというが、A氏本人の妻がテレビで口にした発言すら葬り去ってしまうようなこの国の芸能マスコミを動かすのはやはり、かなり難しいだろう。
昭恵夫人は、まず、国会で「言論機関は萎縮なんてまったくしていない」などと強弁している夫に、このマスコミの現状を教えてあげてはいかがだろうか。
(時田章広)
最終更新:2016.02.17 11:39